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諸外国の国民が思う、相手の国の好き嫌いの実情をさぐる(2021年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 食べ物の好き嫌い同様に、国単位での国民間の好感・嫌悪感は存在する。(写真:アフロ)

国としての政策姿勢とは別に、国民レベルで他国に向けた好感、嫌悪感といった感情は確実に存在する。その実情を新聞通信調査会が2021年3月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」(※)の報告書の内容から探る。

次に示すのは、その対日本も含めた調査対象の各国における、自国以外の国への好感度の指標。好感が持てる(強弱)、好感を持てない(強弱)、加えて実質的にもう一つの選択肢である無回答(あるいは分からない)も合わせ5択のうち、強弱を合わせた好感が持てる派の回答率を合計した値となっている。

日本は調査実施国ではないので掲載されておらず、また各国において自国の部分は空欄となっている。なおイギリスの値は新型コロナウイルス流行悪化の影響で今回調査は実施できなかったため空欄となっている(好感を持てるか否かの判断相手国としては存在する)。

↑ 対象国に好感が持てる人の割合(2021年)
↑ 対象国に好感が持てる人の割合(2021年)

各国の市民感情としての他国への敬愛度、好感度が如実に現れているのが興味深い。アメリカ合衆国は日本以外では英仏への値が高く、タイは6割台と高めの値。中韓へは半数にも届かない。特に中国へは3割にも届いていない値となっている。フランスも似たようなものではあるが、対日、対英の値が特段高いが、一方で対米の値が低めなのが特徴的。

タイはおおよそどの国へも好感度が高いが、対韓・対中は6割前後。韓国では日本に対する値が一段と低いが(調査対象国の中では一番低い)、中国への値はそれより低い。

中国はといえば、フランスへの好感度が一段と高く7割強、次いで対タイが6割台。対日は低く4割足らずだが、対米はそれよりも低く3割にも届いていない。昨今の米中関係を推し量れる値ではある(アメリカ合衆国の対中好感度も29.0%と低い)。

これらの値はあくまでも一般市民の思惑であり、各国の政府や行政などの姿勢とは別物。とはいえ民主主義国家では多分に市民感情なるものが国策に影響を与えうることを考えると、無視できない結果には違いない。

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※諸外国における対日メディア世論調査

直近発表分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2020年12月から2021年1月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。グラフの年数表記は調査結果の発表年で統一している。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。

なおイギリスは新型コロナウイルスの流行悪化の影響で直近調査はできなかった。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されたが、2015年分は中国において質問そのものができなかった項目が複数ある。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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