4マスでは新聞とテレビがプラス、雑誌は3割強の減(博報堂売上動向:2021年3月分)

↑ 新聞が意外にも堅調な値を示す。(写真:PantherMedia/イメージマート)

新聞とテレビ、インターネットメディアなどがプラス

日本の広告代理店で売上高大手で知名度も高い博報堂DYHD。同社の月次売上で直近分となる2021年3月分が発表された。その内容を精査する。

まずは主要部門ごとの前年同月比を計算し、グラフ化する。

↑ 部門別売上高前年同月比(博報堂DYHD)(2021年3月)
↑ 部門別売上高前年同月比(博報堂DYHD)(2021年3月)

昔ながらの主力メディア、具体的には新聞・雑誌・ラジオ・テレビ(いわゆる4マス、4大従来型メディア)の動向を確認すると、今回月は紙媒体の新聞と雑誌では、新聞がプラスで雑誌はマイナス。ラテと呼ばれる電波媒体は、ラジオがマイナスでテレビがプラス。結果として新聞とテレビがプラスとなった。

インターネットメディアはプラス12.6%。前年同月における前年同月比はプラス20.5%を示しており、その反動によるマイナスへの影響があるにもかかわらず、大きなプラスを確保した。ちなみに2年前同月比を試算するとプラス35.6%となる。

一般広告はアウトドアメディアがマイナス20.4%、クリエイティブがプラス9.6%、マーケティング・プロモーションがプラス41.9%、「その他」はマイナス47.5%。大きなマイナス幅を示す部門が複数見られるが、ひとえに新型コロナウイルス流行による影響で企業活動が縮小し、広報宣伝活動への支出が減少した結果だと考えられる。特にアウトドアメディアは広告の性質もあり、大きな影響を受けているのだろう。

「その他」の下げ幅が全部門の中では一番大きくなってしまったが、金額そのものは少額のため(約10.2億円)、総額に与えた影響はそれほど大きなものではない。一方で上げ幅が一番大きいマーケティング・プロモーションは金額も大きいため(約392.9億円)、総額のプラス化には大きく貢献したのだろう。

各年3月における売上総額の推移

次のグラフは博報堂DYHDの2006年以降における、今回月となる3月を基準にした毎年3月分の売上高総額をグラフにしたもの。年を隔てた上で同月における比較となるので、選挙やオリンピック、FIFAワールドカップのような、広告と深い関係を持ち、売上に大きく影響を与える事象が無い限り、季節による変動を気にせず中期的な動向を確認できる。

↑ 月次売上総額(博報堂DYHD、億円)(各年3月)
↑ 月次売上総額(博報堂DYHD、億円)(各年3月)

3月動向に限ると、金融危機からリーマンショックを受け景況感が落ち込み、さらに東日本大震災の影響もあり、2011年までは下落傾向。その後は後ずさりの機会もありながらも回復に向かうが、2018年でそれまでのピークを迎え、その後は下落に。2020年は新型コロナウイルス流行の影響を受け大きく下落するが、直近となる2021年は大きく持ち直し、2018年の値を超えて記録のある限りでは最大値を更新する形となった。博報堂の売上に限れば、新型コロナウイルス流行による景況感の後退で生じた低迷から回復を果たしたと解釈してもよいのだろう。

次に各部門の具体的な売上高を確認できるグラフを作成し、その実情を確認する。それぞれの部門の具体的な市場規模や部門間の違いが、成長度合いではなく現状の売上の観点で把握できる。

↑ 部門別売上高(博報堂DYHD、億円)(2021年3月)
↑ 部門別売上高(博報堂DYHD、億円)(2021年3月)

インターネットは他部門と比べれば堅調な値を示しているものの、売上金額=市場規模としては他の部門と比較すると、どんぐりの背比べレベルでしかない(4マスと比較するとテレビ以外との間では大いに競り勝っているが)。また、4大従来型メディアとインターネット以外の一般広告市場が大きな規模を示していること、テレビの広告市場がひときわ巨大であることなどが一目で分かる。テレビだけで全売上の3割近くもの額面を示している。

さらに今回月に限ればマーケティング・プロモーションの額面が非常に大きなものとなっているのが確認できる。テレビを超え部門別では最大額となっている。大変珍しい状況で、発表内容の詳細を確認する限りでは、3社の中でも博報堂に大型案件が舞い込んだ感はある(博報堂におけるマーケティング・プロモーションの前年同月比はプラス53.8%)。

各値に明確な形で出ているが、今回月は一部部門で新型コロナウイルス流行に伴う企業活動の縮小の結果が大きく表れている。前年同月比でプラスを示した部門が複数部門で確認できたのは幸いだが、雑誌のように3割を超える下げ幅を示す部門もあるのが実情だ。

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※グラフなどにおける社名や部門の表現について

部門名は一般の呼ばれ方と異なるものもあるが、「インターネットメディア」とはインターネット広告、「一般広告」とは4マスとインターネット以外の、従来型の広告を意味する。

本文内部やグラフでは一部で「博報堂DYホールディングス」を「博報堂DYHD」と表記している。また同社は「博報堂」「大広」「読売広告社」と「博報堂DYメディアパートナーズ」を完全子会社として傘下に置く広告グループの持株会社で、今記事では公開されている「博報堂」「大広」「読売広告社」の広告代理店子会社3社の売上を合算して各種計算を行い、博報堂DYホールディングスの売上としている。また、記事中の表記も原則として「博報堂」は「博報堂DYホールディングス」を意味する。子会社の博報堂単体の動向ではないことに注意。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。