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米中露韓への日本人の親近感はどのような状況なのか(2020年調査版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本人が諸外国に持つ親近感、その内情は。(提供:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

日本と深い関係のある国々に、日本人自身はどの程度の親近感を持っているのか。内閣府の外交に関する世論調査(※)から、属性別の現状を確認していく。

今調査の該当項目では諸外国、あるいは地域毎に親しみを抱いているか否かに関して、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の4選択肢を提示、その中から自分の心境にもっとも近いもの一つを選んでもらうことで、該当国への親近感を推し量っている。

そこでそのうち「親しみを感じる(強)」「どちらかというと親しみを感じる(弱)」の動向を、主要国として今回抽出したアメリカ合衆国、中国、ロシア、韓国について、男女別と年齢階層別に計算しグラフ化したのが次の図。4か国のグラフにおいて縦軸の区分はすべて統一してあるため、個々の国に対し持っている親近感の度合いが容易に比較できるようになっている。

↑ アメリカ合衆国に親近感を持つ人(2020年)
↑ アメリカ合衆国に親近感を持つ人(2020年)

↑ 中国に親近感を持つ人(2020年)
↑ 中国に親近感を持つ人(2020年)

↑ ロシアに親近感を持つ人(2020年)
↑ ロシアに親近感を持つ人(2020年)

↑ 韓国に親近感を持つ人(2020年)
↑ 韓国に親近感を持つ人(2020年)

アメリカ合衆国に親近感を持つ人は属性でさほど違いは無いが、女性よりは男性の方が強い親しみを覚えているのが確認できる。年齢階層別では特に傾向だった動きはない。強弱合わせた親近感の合計値が一番低い属性は30代。

全体値で最低値を示したロシアでは18~29歳がやや高め。それ以降は年齢とともに漸減していくが70歳以上で高くなる。ただしどの層でも強い親しみの値は少なめ。中国は18~29歳の値が高く34.3%。強い親近感も9.9%と、年齢階層別では最大値を示している。男女別ではほとんど違いは無し。

韓国では男女別では女性、年齢階層別では18~29歳を筆頭に若年層の親近感が高い。若年層が高めに出るのは他国でも見受けられるが、強度の親近感が18~29歳において突出する形で高い値を示しているのは、数年前までブームだった「韓流」「K-POP」などの影響が、まだこれらの層に残っていることがうかがえる。あるいは現状でもまだブームの類が数字として出ているのかもしれない。

強弱を問わずに親近感を持つ層を合算し、それぞれの国の属性別動向をまとめたのが次のグラフ。

↑ 対象国に親しみを持つ人(強弱合計)(2020年)
↑ 対象国に親しみを持つ人(強弱合計)(2020年)

アメリカ合衆国の安定した高さ、韓国の特異性(女性や若年層における親近感の突出した高さ)などが改めて確認できる。あくまでも総合的な評価として親近感を覚えるか否かではあるが、日本の対外施策や社会的事案の検証の際に、指標の一つとなる動向には違いない。

■関連記事:

【中国・習主席の外交は大よそ否定的、アフリカなど一部諸国では高く評価】

【日本のアメリカ合衆国への親近感78.7%…日本の諸外国への親近感の実情をさぐる(2019年公開版)】

※外交に関する世論調査

2020年10月22日から12月6日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、郵送法によって行われたもので、有効回答数は1865人。男女比は909対956、年齢階層別構成比は10代27人・20代186人・30代216人・40代337人・50代312人・60代319人・70歳以上468人。

調査方法について2019年調査までは調査員による個別面接聴取法が用いられていたが、2020年調査では新型コロナウイルス流行という特殊事情により、郵送法が用いられている。調査方法の変更で一部設問の選択肢や回答傾向に違いが生じていることに注意が必要となる(「分からない」が無くなり回答がなかった結果分が「無回答」になっている、回答の意思が明確化されたために一部設問で「無回答」の値が2019年調査結果と比べて有意に少なくなっているなど)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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