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日本のアメリカ合衆国への親近感78.7%…日本の諸外国への親近感の実情をさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本の諸外国への親近感は。(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

内閣府は2019年12月、外交に関する世論調査(※)を発表した。次に示すのはその調査結果を基にした、日本人の諸外国への親近感の実情。調査対象母集団に対し諸外国、あるいは地域毎に親しみを抱いているか否かに関して、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「分からない」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の5選択肢を提示、その中から自分の心境にもっとも近いもの一つを選んでもらい、その結果を集計したのが次のグラフ。

↑ 諸外国との親近感(2019年)
↑ 諸外国との親近感(2019年)

留意すべきは赤系統色の回答部分。「(どちらかというと)親しみを感じない」は回答者の心境的に「親しみの対象にならない」(無関心的な部分。「分からない」とは異なる)と「憎悪の対象となる」の2通りに解釈できる、可能性として存在すること。赤系統色の回答率が多い国・地域が、日本から「憎まれている」との解釈には必ずしもたどり着かない。単に好まれていない、親しみを覚える対象にはならないだけの話。

結果を見るとまず目に留まるのが、アメリカ合衆国への親近感の高さ。親しみを感じない派(「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の合計)は2割足らずで、今回提示された国などではもっとも少ない。これは元々同国との間には親密な関係が継続されていたのに加え、2011年3月の東日本大震災における「オペレーション・トモダチ」をはじめとした、同国による大規模な救援活動の実態を見聞き、あるいは実際に支援を受けた結果によるところが大きい。同作戦から8年以上が経過したが、高水準を維持しているのに違いはない。

次いでヨーロッパ諸国。ヨーロッパでは「親しみを感じる」はアメリカ合衆国と比べて少ないが、親しみを感じる派が多いことに違いはない。マイナスイメージでの情報伝聞が少ないのが要因だろうか。それに続く東南アジア諸国、インドも同じような理由だろう。

さらに韓国、中央アジア・コーカサス諸国などが続く。アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国などと違い、親しみを感じない派の方が多くなっている。特に韓国では「親しみを感じない」の値が今回提示された諸外国の間ではもっとも高いものとなっており、特異な印象を受ける。中央アジア・コーカサス諸国は「分からない」の値が高いことも合わせ、「情報そのものがあまり入って来ない、自分には関心がわかないので、親しみを覚えることはない」が多分だと思われる。

他方、中国やロシアのような、いわゆる(元)共産圏諸国との親近感は低め。中国では「親しみを感じない」の値が韓国に次いで高いものとなっている。

好意的な選択肢「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」を足した値を「親近感」と設定。そして今回の2019年分と前回2018年調査分双方で選択肢として挙げられた国に関して、その変移を算出した結果が次のグラフ。

↑ 諸外国との親近感(好感的意見合計値の2019年における前回調査との差異、ppt)
↑ 諸外国との親近感(好感的意見合計値の2019年における前回調査との差異、ppt)

アメリカ合衆国と中国、ロシアが増加、韓国が大幅な減少。やはり韓国の下げ方が気になるところではある。もっとも韓国海軍レーダー照射問題や半導体素材の輸出管理の問題などで韓国側が見せている理不尽な姿勢を思い返せば、これでも少ないと思う人もいるかもしれない。

詳細は別の機会に解説するが、中国への親近感は今回調査でやや回復したものの、低い値を続けていることに変わりはない。他方、韓国は記録の上では最低値を示すこととなった。昨今の動向をかんがみれば、それもある程度納得ができてしまうものである。

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※外交に関する世論調査

2019年10月19日から10月30日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は1608人。男女比は748対860、年齢階層別構成比は10代38人・20代126人・30代166人・40代262人・50代263人・60代299人・70歳以上454人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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