日本のアメリカ合衆国への親近感84.0%…日本の諸外国への親近感の実情をさぐる(2020年調査版)

↑ 日本の諸外国への親近感は。(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

内閣府は2021年2月、外交に関する世論調査(※)を発表した。次に示すのはその調査結果を基にした、日本人の諸外国への親近感の実情。調査対象母集団に対し諸外国、あるいは地域毎に親しみを抱いているか否かに関して、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の4選択肢を提示、その中から自分の心境にもっとも近いもの一つを選んでもらい、その結果を集計したのが次のグラフ。

↑ 諸外国との親近感(2020年)
↑ 諸外国との親近感(2020年)

留意すべきは赤系統色の回答部分。「(どちらかというと)親しみを感じない」は回答者の心境的に「親しみの対象にならない」(無関心的な部分。「無回答」とは異なる)と「憎悪の対象となる」の2通りに解釈できる、可能性として存在すること。赤系統色の回答率が多い国・地域が、日本から「憎まれている」との解釈には必ずしもたどり着かない。単に好まれていない、親しみを覚える対象にはならないだけの話。

結果を見るとまず目に留まるのが、アメリカ合衆国への親近感の高さ。親しみを覚えない人は2割足らずで、今回の提示された国などではもっとも少ない。これは元々同国との間には親密な関係が継続されていたのに加え、2011年3月の東日本大震災における「オペレーション・トモダチ」をはじめとした、同国による大規模な救援活動の実態を見聞き、あるいは実際に支援を受けた結果によるところが大きい。2020年11月3日に投票が実施された大統領選挙に関連して色々な報道があったためか、強い意味での「親しみを感じる」は前回調査結果よりは減ってしまったが、「どちらかというと親しみを感じる」は大幅に増えている。

次いでオーストラリア。アメリカ合衆国と比べると赤系統色がやや多いが、傾向的にはアメリカ合衆国と変わらない。イナスイメージでの情報伝聞が少ないのが要因だろうか。

さらに中南米諸国、韓国、中東諸国などが続く。アメリカ合衆国やオーストラリアと違い、親しみを感じない派の方が多くなっている。特に韓国では「親しみを感じない」の値が今回提示された諸外国の間では中国に続き高いものとなっており、特異な印象を受ける。

他方、中国やロシアのような、いわゆる(元)共産圏諸国との親近感は低め。中国では「親しみを感じない」の値がもっとも高いものとなっている。

ここ数年大きな親近感が下落傾向にある中国と韓国だが、今回調査分(2020年実施)について前回調査分(2019年実施)と比べると、中国はいくぶん下落し、韓国は随分と持ち直した動きを示している。中国の動きは日々報道される強圧的な対外姿勢の結果によるものと考えるのが妥当ではある。韓国は逆で、前回調査時と比べると報じられ方が大人しくなってきたことによるものだろう。

好意的な選択肢「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」を足した値を「親近感」と設定。そして今回調査分の2020年分と前回2019年調査分双方で選択肢として挙げられた国に関して、その変移を算出した結果が次のグラフ。

↑ 諸外国との親近感(好感的意見合計値の2020年における前回調査との差異、ppt)
↑ 諸外国との親近感(好感的意見合計値の2020年における前回調査との差異、ppt)

アメリカ合衆国と韓国が大幅増加、中国が微減、ロシアが大幅な減少。ロシアの減少は同国の野党指導者が毒物を盛られて意識不明状態に陥ったことが繰り返し報じられたことが影響しているものと考えられる。韓国の大幅増加は上記にある通り、報道のされ方が大人しくなったからまでと考えるのが無難だろう。

詳細は別の機会に解説するが、中国への親近感は低い値を続けている。昨今の動向をかんがみれば、それもある程度納得ができてしまうものである。

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※外交に関する世論調査

2020年10月22日から12月6日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、郵送法によって行われたもので、有効回答数は1865人。男女比は909対956、年齢階層別構成比は10代27人・20代186人・30代216人・40代337人・50代312人・60代319人・70歳以上468人。

調査方法について2019年調査までは調査員による個別面接聴取法が用いられていたが、2020年調査では新型コロナウイルス流行という特殊事情により、郵送法が用いられている。調査方法の変更で一部設問の選択肢や回答傾向に違いが生じていることに注意が必要となる(「分からない」が無くなり回答がなかった結果分が「無回答」になっている、回答の意思が明確化されたために一部設問で「無回答」の値が2019年調査結果と比べて有意に少なくなっているなど)。

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