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死後の世界の存在を信じるか否か、世界各国での考え方をさぐる(2017~2020年分)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 天国と地獄の概念も死後の世界そのもの。(提供:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

世界には多様な宗教が存在し、その多くには死後の世界の概念が存在する。具体的にどの宗教がどれだけ浸透しているのかどうかはともかくとして、人々の中にどこまで死後の世界の考え方は根付いているのだろうか。世界規模で国単位の価値観を定点観測している「World Values Survey(世界価値観調査)」(※)の公開結果から確認する。

次に示すのは死後の世界を信じるかとの設問に同意した人の割合を国別で示したもの。具体的にどのような世界なのかは問われていない。

↑ 死後の世界を信じるか(信じる人の割合)(2017~2020年)
↑ 死後の世界を信じるか(信じる人の割合)(2017~2020年)

イスラム系の国が上位に並んでいる。一方でアメリカ合衆国が7割近くを示し上位に入っているのは注目に値する。

日本はといえば32.2%で対象国の中では下から2番目。3割程度しか死後の世界は信じていない。もっともデータの詳細を確認すると、信じない人は34.7%でしかなく、「分からない」と答えた人が32.6%に達している。他の設問のパターン同様、「分からない」の値は日本が一番高いものとなっている。日本では確定し得ない、自信が無いものはとりあえず「分からない」と答えておくという処世術的なものが浸透しているのだろうか。

死後の世界は科学的には証明できていない。また、多くの宗教で定義されている死後の世界は、当然科学と対立しうる。そこで「科学と宗教が対立する場面では常に宗教が正しい」という設問に対する答えが次のグラフ。プラスの値の国ほど宗教が優先される傾向がある。

↑ 科学と宗教が対立する場面では常に宗教が正しい(強い同意=+2、同意=+1、不同意=-1、強い不同意=-2)(2017~2020年)
↑ 科学と宗教が対立する場面では常に宗教が正しい(強い同意=+2、同意=+1、不同意=-1、強い不同意=-2)(2017~2020年)

イスラム系の国の多くがプラスを示しており、科学よりも宗教を重んじるという実情がうかがい知れる結果となっている。とはいえマイナスを示す国の方が多数であることもまた事実。

宗教観の薄い中国のマイナス幅がもっとも大きくマイナス1.370、次いでニュージーランド、オーストラリア、日本と続く。アメリカ合衆国がマイナス0.441でしかないのは少々怖い気がする。ちなみに日本ではこのポジションでも、「分からない」の回答値が30.5%と高い値を示していることを補足しておく。

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※World Values Survey(世界価値観調査)

世界100か国以上が参加して実施している国際的プロジェクト「世界価値観調査」によるもの。各国・地域毎に全国の18歳以上85歳以下の男女1000サンプル程度(実際には1000~2000人程度)の回収を基本とした個人対象の意識調査。調査そのものはおおよそ5年おきに実施されているが、調査期間によって一時的に対象外となる国も少なくない。また現時点では集計が完全には終わっておらず、値が掲載されていない国もある。直近の調査結果は2017年から2020年にかけて行われたものだが、記事執筆時点で項目によって調査結果が掲載されていない国が複数確認できる(最終的な報告書は2021年秋に発表予定)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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