世界規模で国単位の価値観を定点観測している「World Values Survey(世界価値観調査)」(※)では多様な国の多数の調査結果が公開されている。今回はその中から日本にスポットライトを当て、調査当時の支持政党の実情を確認する。日本で調査が行われたのは2019年9月だが、その時に支持を集めていたのはどの政党だろうか。

次に示すのは調査時点において、仮に翌日国政選挙があるとしたら、どの政党に投票するかを尋ねた結果。あくまでも2019年9月の時点での話なので、党名は同じでも現在は存在しない政党があることに注意(国民民主党と立憲民主党が該当)。

↑ 明日国政選挙が行われるとしたらどの党に投票するか(日本、属性別)(2019年)
↑ 明日国政選挙が行われるとしたらどの党に投票するか(日本、属性別)(2019年)

第一印象として「投票対象無し」「分からない」など特定大手政党を対象としていない値が非常に大きいことが挙げられる。両者などの灰色系統色を合わせると全体では4割台、16~24歳では6割を超えてしまっている。

特定大手政党を対象とした意見としては、自由民主党が一番多く全体では31.7%、次いで立憲民主党が9.2%、日本維新の会の6.3%が続く。

年齢階層別に見ると、若年層ほど「投票対象無し」「分からない」などが多く、55歳以上で急にはっきりとした形での支持政党の値が増えていく。しかし65歳以上でも3割近くが「投票対象無し」「分からない」などと答えているのが実情。また、高齢層ほど立憲民主党の値が増え、55歳以上では自由民主党に次ぐポジションを占めるようになるのが印象的。特に65歳以上では16.7%もの値を示している。また65歳以上では日本共産党も5.7%と大きく伸びているのも印象的。

高所得者ほど特定の政党を支持するようになるのでは、との話は選挙のたびに聞かれる与太話だが、少なくとも今調査の限りではそのような動きは見られない。逆に低所得者ほど特定政党を支持するといった動きもない。

実際の選挙では「投票対象無し」は多分に投票そのものをしない可能性が高いが、「分からない」は浮動票的な動きを示す。その浮動票が全体で2割近く、特に若年層に多いのは注目に値すべきだろう。

他方、特定大手政党を対象とした意見でなければ投票そのものを行わない可能性があり、またどのような投票行動を示すか推測が難しいので、精査をしても意味はあまりないとの考え方もある。そこで「投票対象無し」「無回答」「分からない」を除いて再計算をした結果が次のグラフ。

↑ 明日国政選挙が行われるとしたらどの党に投票するか(日本、投票対象無し・無回答・分からないを除外して再計算、属性別)(2019年)
↑ 明日国政選挙が行われるとしたらどの党に投票するか(日本、投票対象無し・無回答・分からないを除外して再計算、属性別)(2019年)

全体では55.9%が自由民主党、次いで立憲民主党が16.2%、日本維新の会が11.1%、公明党が6.5%、日本共産党が5.8%となる。年齢階層別では16~24歳層で日本維新の会がかなり値を伸ばしているが、おおよそ若年層ほど自由民主党の値が高くなり、高齢層ほど落ちていく。逆に立憲民主党はおおよそ若年層ほど低く、高齢層になるに連れて値を伸ばす。65歳以上では実に22.9%の値を示している。

所得区分別では傾向だった動きは無し。ただ、中所得層では立憲民主党や日本共産党が値を伸ばす傾向があるようだ。逆に高所得層では両党とも値が伸び悩んでいるのは興味深い。

あくまでも今件は2019年9月時点での話。しかしながら各政党の実質的な政党支持率が詳細な形で把握できるのは興味深い話ではある。

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※World Values Survey(世界価値観調査)

世界100か国以上が参加して実施している国際的プロジェクト「世界価値観調査」によるもの。各国・地域毎に全国の18歳以上85歳以下の男女1000サンプル程度(実際には1000~2000人程度)の回収を基本とした個人対象の意識調査。調査そのものはおおよそ5年おきに実施されているが、調査期間によって一時的に対象外となる国も少なくない。また現時点では集計が完全には終わっておらず、値が掲載されていない国もある。直近の調査結果は2017年から2020年にかけて行われたものだが、記事執筆時点で項目によって調査結果が掲載されていない国が複数確認できる(最終的な報告書は2021年秋に発表予定)。

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