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節約・倹約心は子供への教育に重要か否か、世界各国の考え方をさぐる(2017~2020年分)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 節約・倹約心は子供の教育に重要な要素なのか。(写真:アフロ)

生物としての本能は別として、人は成長する過程で親をはじめとする多くの人から行動様式を学び、模倣し、経験を得て成長し、人格を形成していく。その成長過程で親の教育方針は大きな影響を及ぼすことになる。それではその方針は、国によって違いが生じるものだろうか。今回は世界規模で国単位の価値観を定点観測している「World Values Survey(世界価値観調査)」(※)の結果を基に、節約・倹約心について実情を確認する。

次に示すのは子供に対する教育指針のうち、節約・倹約心の計3つの指針について、子供に身に付けさせることが重要か否かを答えてもらい、肯定した人の割合。教育指針とはいくぶん違うかもしれないが、子供の成長過程において学ぶべき要素としては、欠かせない概念には違いない。

↑ 子供に節約・倹約心を身に付けさせるのは重要か(重要だと思う人)(2017~2020年)
↑ 子供に節約・倹約心を身に付けさせるのは重要か(重要だと思う人)(2017~2020年)

ロシアがもっとも値が高く48.2%、次いで韓国の45.0%、そして日本の43.7%が続く。ただどの国も5割を超えていない。日本が思ったほど高い場所にいるのには驚いた人も、そして一方で納得している人もいるだろう。こちらも地域別特性の類はないように見える。

ちなみに値がもっとも低いのはブラジルの18.0%、次いでイラクの18.3%、イギリスの18.9%が続く。イギリスの値の低さには意外さを覚える人もいるだろう。

今件の節約・倹約心はあくまでも子供への教育指針のうちの一部に過ぎず、しかも重点を置いてもその通りに子供が育つとは限らない。さらにいえば保護者の教育姿勢ですら、各指標対象の能力を正しく収得するために役立つわけではない。教える側が曲解している可能性もあれば、子供が曲解して習得してしまう可能性もある。そして節約・倹約心は国によって社会文化的な違いがあるため、体現化されるものは異なってくる。

一方で、言葉の上でのくくりでも、国により教育指針に大きな違いがあるのが確認できるのも事実。各国の対外的な姿勢や国内事案を眺め見た時、あるいは推測を行う際、多分に参考になることだろう。

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※World Values Survey(世界価値観調査)

世界100か国以上が参加して実施している国際的プロジェクト「世界価値観調査」によるもの。各国・地域毎に全国の18歳以上85歳以下の男女1000サンプル程度(実際には1000~2000人程度)の回収を基本とした個人対象の意識調査。調査そのものはおおよそ5年おきに実施されているが、調査期間によって一時的に対象外となる国も少なくない。また現時点では集計が完全には終わっておらず、値が掲載されていない国もある。直近の調査結果は2017年から2020年にかけて行われたものだが、記事執筆時点で項目によって調査結果が掲載されていない国が複数確認できる(最終的な報告書は2021年秋に発表予定)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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