2020年12月度外食産業売上は前年同月比でマイナス15.5%

↑ 新型コロナウイルス流行第三波で外食産業にも大きな影響が。(写真:西村尚己/アフロ)

日本フードサービス協会は2021年1月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2020年12月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でマイナス15.5%を示した。新型コロナウイルスの感染状況に関して再拡大の動きが強まり、客足が遠のきを見せている。政府や自治体による外出自粛要請や営業時間短縮要請も足を引っ張る形に。年末の繁忙期における動きだったため、影響は非常に大きなものとなった。

全業態すべてを合わせた2020年12月度売上状況は、前年同月比で84.5%となり、15.5%の減少を記録した。これは前回月から続く形で10か月連続の減少。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は1日少なく、土曜日は変わらず、売上にはマイナスの影響。気象環境では雨天日は東京は少なく大阪も少なく、平均気温は東京・大阪ともに低めのため、客足への影響判断はプラスマイナスゼロと解釈できる。

他方、新型コロナウイルスの流行による外出自粛や多人数が集まる場所への忌避感は強い。感染者数の増加による第三波の認識がされ、客数の大幅減が継続する状況となっている。また就業者の在宅勤務も継続されており、就業者相手の業態では苦戦が続いている。

結果として客数は全体では前年同月比でマイナス17.9%を示した。一方で客単価はプラス2.9%となり、結果として売上はマイナス15.5%に。前回月の売上高マイナス7.8%より悪化してしまっている。

業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から転じる形で3か月ぶりのマイナス(マイナス3.0%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「ドライブスルー、テイクアウト、デリバリーの好調に加え、各社クリスマス時期のチキンの予約販売が好調」と報告書にあり、テイクアウトやデリバリーの選択肢を持つことへの奏功の影響が大きく、また他業態とは異なり季節イベントもプラスに作用し、売上はプラス4.8%と詳細業態区分では唯一のプラスに。

なおマクドナルド単体の2020年12月における営業成績はプラス7.2%(売上、既存店、前年同月比)と大幅なプラスを示している。客数はマイナス7.4%だったが客単価がプラス15.7%と大きく伸びていることから、クリスマス需要を上手くこなしたようだ(該当時期にはチキンマックナゲットの15ピース・30ピースセットを新作ソースと合わせて特別価格で販売している)。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス10.5%、客単価はプラス5.7%と成し、売上はマイナス5.3%。麺類は客数マイナス19.9%、客単価はプラス2.2%と成し、売上はマイナス18.1%。和風は「引き続き高単価の季節メニューの好調と、テイクアウトの下支えもあり、売上は前月並み」と報告書にあり、冬定番のすき鍋定食が健闘したものの、新型コロナウイルスの感染拡大で勢いが打ち消されてしまったようだ。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がマイナス3.8%。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス24.8%、客単価はプラス4.0%、売上はマイナス21.8%。全体として「前月末から客数減少傾向が続き、加えて酒類を提供する飲食店などに対する時短要請が全国に広がり」と報告書にあり、客の入りの落ち込みが打撃となったようだ。焼き肉は「大人数の宴会が消失し」との言及が報告書にある(売上はマイナス11.4%)。単なる減少や半減ではなく消失という表現が用いられている点に、事の重大さが見て取れる。

パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はマイナス63.8%、居酒屋の売上はマイナス60.2%。部門全体では売上はマイナス60.9%を示した。「コロナ第三波の影響で酒類提供店舗に対する営業時間短縮の要請が全国的に広がり、夜の営業が売上の大半を占めるパブ・居酒屋は特に大きな打撃を受けた」と報告書で説明されており、新型コロナウイルスの流行と業界の体質との相性の悪さをはじめ、複数要素でマイナスの影響を受け、大ダメージとなっていることがうかがえる。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はマイナス42.6%、客単価はプラス1.3%で売上はマイナス41.9%を示した。「これまで時短の要請と解除が繰り返される中、法人や大人数の宴会がまったく期待できず」との説明が報告書にある。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2020年12月度分)(日本フードサービス協会報告書より抜粋)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2020年12月度分)(日本フードサービス協会報告書より抜粋)

↑ 外食産業売上高前年同月比(業態別)(2020年12月度)
↑ 外食産業売上高前年同月比(業態別)(2020年12月度)

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけではない。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続している。

次回月の2021年1月度分では、新型コロナウイルスの流行第三波の実情を受け、12月の忘年会特需同様、1月の新年会特需も吹き飛ぶ形となる。一部業態を除けば恐らくは今回月同様、あるいはそれ以上に悪い値が出てしまうだろう。

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