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クリスマスに向けてケーキはいつ買われるのか…日々のケーキへの支出傾向をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 街を彩るクリスマスの飾り。ケーキを用意せねばと思う頃。(写真:アフロ)

12月になると街中を彩り甘い香りを覚えさせるクリスマス向けのケーキ達。ケーキは具体的にいつ頃買われているのか。日々の動向を総務省統計局の「家計調査」のデータから検証する。

「家計調査」では二人以上世帯(原則夫婦世帯)においてのみ、日次の動きに関する調査も行われている。世の中全体の傾向を推し量るのには総世帯(単身世帯+二人以上世帯)の値が望ましいのだが、存在しない以上仕方がないので、この二人以上世帯における日々の支出額(=消費額)を基に、ケーキがクリスマスに向けてどのように買い進まれていくのかを確認する。

「家計調査」では該当する品目分類として「ケーキ」そのものが確認できる。その項目が指す具体的内容は説明によると次の通り。

●ケーキ

原則として、小麦粉をスポンジ状、タルト状に焼きあげ、それに生クリーム、果物などを飾ったもの。

 〇ショートケーキ、モンブラン、チーズケーキ、サバラン

 ×バームクーヘン、パウンドケーキ、アップルパイ→「他の洋菓子」

バームクーヘンなどもクリスマスケーキとして用いられる場合があるかもしれないが、「他の洋菓子」にはエクレアやシュークリーム、ババロア、スイートポテト、ムースなど多様な洋菓子が該当するため、クリスマス向けのケーキの傾向を推し量るのには適していない。

現時点で日次データが取得できるのは2020年9月分まで。そこで前年度に該当し、クリスマス関連の傾向を推し量れるように、2019年11月から2020年3月までの日々の支出に関して、「ケーキ」の金額を確認したのが次のグラフ。

↑ 二人以上世帯における平均支出額(ケーキ、日次、円)(2019年11月~2020年3月)
↑ 二人以上世帯における平均支出額(ケーキ、日次、円)(2019年11月~2020年3月)

たまたま誕生日や結婚記念日などのイベントや、ちょっとしたご褒美的な意味でケーキを買う場合もあるためか、毎日一定額はケーキが買われているのが分かる。一方でクリスマスイブの12月24日に向けて支出額は急激に増え、ピークとなる12月24日には357.50円を示す。クリスマスイブではなくクリスマス当日にケーキを買う場合や、イブを過ぎて安売りされているケーキを買うケーキ好きの人も少なからずいるようで、12月25日も通常と比べると高い値を示しているのも興味深い。

また12月23日よりも12月22日の方が支出額は高くなっているが、これは12月22日が日曜日に当たるため。日持ちするタイプのケーキを前もって休みの日に購入した、あるいはクリスマスそのものを前倒しで日曜日に行ったケースがあったのだろう。

一方で正月前後に多少、そして3月3日にはクリスマスにはおよばないものの明らかにケーキへの支出額が増える動きが確認できる。前者は年末年始のパーティー的なものの際に、後者はひな祭りのためにケーキが買われるために生じたものだろう。

いずれにせよケーキのセールはクリスマス前後が天王山であることに違いはないようだ。

他方、ケーキをはじめとするスイーツの消費傾向に影響を与える要因の一つとして、コンビニの存在が挙げられる。いつでもすぐに気軽にスイーツが手に届く環境の整備は、ケーキの存在を身近なものとしたに違いない。今件におけるクリスマス向けケーキの少なからずもコンビニで購入されたものと考えられる。

そこでコンビニがスイーツに本腰を入れていない2010年時点の動きを確認したが(コンビニでのスイーツ展開が本格化するのは2010~2011年あたりから。ローソンが2009年にプレミアムロールケーキの販売を始め、大ヒットになったのがきっかけ。セブン-イレブンでは2012年5月からオリジナルスイーツの全面改定と工場の新設・増強を行っている)、2019年のものと大きな違いは無かった。

↑ 二人以上世帯における平均支出額(ケーキ、日次、円)(2010年11月~2011年3月)
↑ 二人以上世帯における平均支出額(ケーキ、日次、円)(2010年11月~2011年3月)

かろうじて違いを見い出すとすれば、年末年始の盛り上がりの類が見られないことだろうか。

ともあれ昔も今も、クリスマスにはケーキが大いに買われることに違いはあるまい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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