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中国17.3億・インド11.5億…世界の携帯電話契約数上位国をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 世界最大の携帯電話契約数を示しているのは中国。(写真:Panther Media/アフロイメージマート)

国際電気通信連合(ITU: International Telecommunication Union)では定期的に主要国(ITU加盟国)の携帯電話やインターネットに関する統計資料をまとめ、各国の動向を推し量れるデータを公開している。今回はその公開値を基に、携帯電話の契約数上位国の実情を確認する。

今件では単純に、携帯電話の「契約数」を数え、その上位国を並べたもの。SIMカードを使い分ける利用スタイルによって、一人で複数の契約をしている場合もある。その時は延べ(件)数としてカウントされてしまうため、人口以上の値を示す国も生じてくる。

ITUのデータベースでは最古は2000年、最新は2019年の年次データが収録されている(記事執筆時点)。そこで各値を抽出した上で2000年と2019年における上位陣をグラフ化する。

↑ 携帯電話契約数上位国(一人で複数契約の事例あり、万件)(2000年)
↑ 携帯電話契約数上位国(一人で複数契約の事例あり、万件)(2000年)
↑ 携帯電話契約数上位国(一人で複数契約の事例あり、万件)(2019年)
↑ 携帯電話契約数上位国(一人で複数契約の事例あり、万件)(2019年)

両グラフでは縦軸の桁が「1ケタ違う」ことに注意してほしい。これは2000年からの19年間で、それだけ契約者数が(言葉通りケタ違いに)増えた状況を表している。また、重複カウントの件はあるものの、1ケタ分携帯電話契約件数が増えたことは、その分飛び交う情報量が増え、その情報に触れる人も増えている状況にあることを意味する。契約者間での情報の行き交いを考えると、飛び交う情報量は累乗的なものとなるはずだ。

とりわけ新興国の普及率上昇は著しい。19年の間に順位にも大きな変動が生じているのが分かる。中でも中国とインドは他の国から抜きんでており、実人口同様に人海戦術モードに突入している。

よい機会なのでその伸び率、具体的には2000年から2019年にわたる成長率を算出しておく。

 携帯電話契約数上位国(一人で複数契約の事例あり、2000年時点の値からの変移、2019年時点の契約数上位国、倍数)(2019年)
携帯電話契約数上位国(一人で複数契約の事例あり、2000年時点の値からの変移、2019年時点の契約数上位国、倍数)(2019年)

インドやパキスタン、バングラデシュなどの新興国の伸び率が高い。そしてなによりもナイジェリアの値が異様な状態にある。同国の2000年時点の契約数は3万件、2019年では1億7273万件なのだから、これだけの値が出て当然。【総務省の世界情報通信事情】によれば、これでもまだ普及率は75.9%(2017年時点)。今後まだまだ伸びそうな雰囲気ではある。

携帯電話契約・利用者数の大小は、そのまま携帯電話を介して取り交わされる情報量の大小をも意味する。インターネットへアクセスができる端末なら、「世界に情報を発信し、世界の情報を入手できる人」の数をも意味する。

今後さらに携帯電話が普及し、インターネットへアクセスできる端末が増えてくれば、各国の動向、そして世界全体は大きな変化を遂げるに違いない。

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(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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