5割強の世帯は災害に備えた非常用食料・飲料を用意している(2020年10月発表版)
東日本大震災以降、地震や洪水などの災害に備えた非常用食料の用意を検討した人は多いはず。しかし定期的な入れ替えの必要性や、コスト、置き場所の問題から、断念した人、つい忘れてしまった人も少なくないだろう。今回は厚生労働省が2020年10月に発表した「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」(※)の内容から、災害に備えた非常用食料の備蓄状況を確認していく。
次に示すのは災害時に備えて非常用食料を世帯に用意しているか否かを尋ねた結果。災害の具体的な指定はなく、表記上は「食料」のみとあるが実質的には食料・飲料も合わせたものと解釈する。
全国では53.8%の世帯が災害に備えた非常用食料を用意していることになる。地域別では関東Iがもっとも多く72.3%、次いで東海の60.6%。東海大地震に備えた動きだろうか。一方で先の東日本大震災で大きな被害を受けた東北では51.2%と少なめ。
全体的には北陸の34.0%のように、地震災害の少ない地域(全般的には西日本)で値が小さいように見える。非常用食料が必要となりうる災害は地震だけではないのだが。
それでは具体的にどれぐらいの量を非常用食料として用意しているのか。用意している世帯に限定して尋ねた結果が次のグラフ。3日以上で勘案しているのは、非常用食料は最低でも3日分、可能ならば1週間分は用意すべきとされているからだ(【災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~(首相官邸)】)。
全国では3日以上の世帯が69.9%、平均は3.54日分。北海道の備蓄状況が一番高い値が出ており、80.9%・4.29日分となっている。全般的にはやはり東日本で高め、西日本で低めの値が出ているのは興味深い。
非常用の食料の確保には費用も場所も必要となり、しかも一定期間毎の入れ替えの手間も求められる。必要な状況となっても公的機関による支援があるから、わざわざ自分で備えておく必要はないのではないかとの考えを持つ人もいるだろう。
しかし実情としてはすぐに公的機関の支援が受けられる保証はどこにもない。できることはできる範囲でかまわないので、常日頃から用意しておくことをお勧めしたい。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。調査時期は2019年11月中。今回調査分では調査実施世帯数は2836世帯で、調査方法は調査票方式。
地域区分は次の通り。
北海道:北海道
東北:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
関東I:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
関東II:茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県
北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県
東海:岐阜県、愛知県、三重県、静岡県
近畿I:京都府、大阪府、兵庫県
近畿II:奈良県、和歌山県、滋賀県
中国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
四国:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
北九州:福岡県、佐賀県、長崎県、大分県
南九州:熊本県 、宮崎県、鹿児島県、 沖縄県
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