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TikTokの利用状況をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ アメリカ合衆国では配信禁止の動きが出ているTikTokだが。(写真:ロイター/アフロ)

モバイル端末向けとして提供されている短時間動画共有サービスTikTok。中国製のサービスとして2016年に運用を開始し、一発芸的な動画の編集・投稿・共有場として大いに人気を博し、日本にも急速に広まりを見せつつある。今回は総務省が2020年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、TikTokの日本国内における利用状況を確認する。

次に示すのは、TikTokの利用をどの種類の端末から行っているかに関する回答値。回答時点で動画・画像の閲覧のみで利用しているか、書き込みや投稿をしているか(設問では単に「書き込む・投稿する」とある)。そして利用する際の端末はパソコン(ノートパソコン、デスクトップパソコンを問わず。またタブレット端末も今件では含んでいる)か、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォンを問わず)かについて尋ねている。また単純な利用状況は「いずれからも利用していない」の値から逆算したもの。なおグラフ中の「携帯」とは「携帯電話」を意味する。

↑ TikTokの利用状況(利用スタイル・端末種類問わず)(2019年)
↑ TikTokの利用状況(利用スタイル・端末種類問わず)(2019年)
↑ TikTokの利用状況(複数回答、利用スタイル別・属性別)(2019年)
↑ TikTokの利用状況(複数回答、利用スタイル別・属性別)(2019年)

全体の利用率は12.5%。8人に1人は何らかの形でTikTokを利用している計算になる。男女別では女性の方が、年齢階層別では若年層の方が利用率は高い。特に10代の利用率は圧倒的で、5割近くが利用している計算になる。一方で40代以降は1割を切っているのが実情。

利用スタイル別・属性別では、元々パソコン経由での利用はあまり想定されていないこともあるが、携帯電話経由での利用率が高い。10代に限れば携帯電話経由ではあるが44.4%の閲覧、そして5.6%もの投稿。20代でも携帯電話経由で19.4%が閲覧している。ツイッターも似たような傾向ではあるが、それ以上に圧倒的な若年層による、ほぼモバイル端末に特化した利用状況であることがうかがえる。

TikTokの動画はブラウザ経由でパソコンなどから自由に視聴、さらにはダウンロードができるようになっており、他のサービスへの拡散も容易な仕様なのが特徴。実際、他のソーシャルメディアでもTikTokの動画が掲載される機会が増えているのが実情である。動画による一発芸的なネタは言語を超えてウケを狙うことができ、評価される可能性を秘めていることから、今後日本にもさらに普及していくことだろう。

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※令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2020年1月14日から1月19日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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