Yahoo!ニュース

世界のスマートフォンやタブレット型端末の市場規模実情をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 時代を大きく変えたスマートフォン、そしてタブレット型端末。市場動向は。(写真:アフロ)

世界を大きく変えた道具として筆頭に挙げられるスマートフォン。そのスマートフォンや、類似のスタイルを持つタブレット型端末の、世界規模での市場や出荷台数の実情を、総務省が2020年8月に公開した、2020年版となる最新の「情報通信白書」の内容から確認する。

最初に示すのは、世界のスマートフォンの市場の規模や出荷台数の現状と2022年までの予想。2019年までが確定値で2020年以降は予想値。データの一次ソースはイギリスに本社を置く情報事業の多国籍企業Informa社となっている。なお出荷台数はあくまでもその年に出荷された台数であり、その時点で利用されている台数ではないことに注意。

↑ 世界のスマートフォン市場規模・出荷台数(2020年以降は予想値、億台・億ドル)
↑ 世界のスマートフォン市場規模・出荷台数(2020年以降は予想値、億台・億ドル)

白書では出荷台数などについて「普及が進んだことから2017年をピークに減少に転じている」「2020年は新型コロナウイルスの影響もあって、大幅な減少が見込まれているが、今後は、5Gの普及とともに増加へと転じるものと見込まれている」「中国系企業が高価格帯の端末を市場に投入し、売れ行きを伸ばした結果、金額ベースでは増加傾向で推移している」と説明している。2020年の出荷台数の落ち込み具合は衝撃的だが、それにもかかわらず出荷金額がむしろ増えているのは、説明にもある通り高単価の端末が多分に販売されたからである。

続いてタブレット型端末。こちらは冒頭での期待感のある話とは異なる現実が見えてくる。なお地域別区分ではスマートフォンのグラフと違い、アジア太平洋は日本や中国も含めたものとなっている。

↑ 世界のタブレット型端末市場規模・出荷台数(2020年以降は予想値、億台・億ドル)
↑ 世界のタブレット型端末市場規模・出荷台数(2020年以降は予想値、億台・億ドル)

出荷台数は確定値、予想値双方とも、おおよそ右肩下がりの状態。出荷金額も2016年をピークに減少傾向に。この動きについて白書側では「スマートフォンやウルトラブックといった超薄型ノートパソコンなどとの競争などから、コンシューマー向けの市場で世界的に低迷が続いている」と説明している。恐らくはこれに加え、スマートフォンの大型化、さらにはいわゆるファブレットと呼ばれるスマートフォンとタブレットの中間的なポジションにある端末がスマートフォンとして発売される機会が増えているのが要因だろう。2022年にいくぶん台数・金額ともに持ち直しを見せているのは、5G普及の恩恵を受けるからかもしれない。

日本では子供向けの教材的なポジションとしてタブレット型端末は注目されており、また家庭内での持ち運びが容易で操作画面も大きいインターネット端末としての有益性も示されている。しかしながら必要性の度合いとしては、スマートフォンと比べて相当低いポジションにあるのも否めない。市場動向がその実情を示していると考えれば、今回の結果も納得ができよう。

■関連記事:

【小中高校生がタブレット型端末でしていることの中身をさぐる(2019年公開版)】

【スマートフォンでもっとも使われている機能は何だろう?】

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事