Yahoo!ニュース

男性28.8%・女性8.8%…喫煙率の実情をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 喫煙率は漸減中との話だが実情は? 統計から確認する。(写真:アフロ)

健康意識の高まりなどを受け、喫煙をする人は減少中との話がある。その喫煙に関する具体的な指標としての喫煙率の実情を厚生労働省が2020年7月に発表した「国民生活基礎調査の概況」(※)から確認する。

次に示すのは男女別、そして年齢階層別の喫煙率。例えば男性で20~24歳では22.9%との値が出ているが、これは20歳から24歳の男性全体のうち22.9%が喫煙していることを意味する。厳密には今調査では喫煙に関して「毎日吸っている」「時々吸う日がある」「以前は吸っていたが1か月以上吸っていない」「吸わない」「不詳」の選択肢が用意されており、そのうち「毎日吸っている」「時々吸う日がある」の2選択肢を合算して算出している。つまり「回答時点で喫煙している人」の割合である。

↑ 喫煙率(男性、年齢階層別)(2019年)
↑ 喫煙率(男性、年齢階層別)(2019年)
↑ 喫煙率(女性、年齢階層別)(2019年)
↑ 喫煙率(女性、年齢階層別)(2019年)

男性は全体では28.8%、女性は8.8%となり、男女間の喫煙率は2~3倍程度の違いが生じている。一方で年齢階層別動向を見ると、男性は40代前半をピークとし、以降すこしずつ減退、定年退職前後から減少率が大きくなるのに対し、女性は40代後半をピークとするが、それ以降も減少状況はゆるやかでほぼ均一な動き。男女間で増減傾向に大きな差異が生じているのが興味深い。

男女それぞれで大きく減るタイミングから推測すると、日常生活の上で多忙感を覚える機会が少なくなると、喫煙率も減り始める感はある。具体的には男性は退職後、女性は子育てを終えて子供が独り立ちをするあたりだろう。実際にたばこを止めた原因の質問は無いので確証は持てないが、喫煙率が大きく減るタイミングで、喫煙者に占める毎日喫煙する人の割合も減る傾向を示していることから、禁煙・減煙が同時期に生じており、たばこが求められる機会が減っていることが推測できる。

男女の値を被せたのが次のグラフ。さらに女性の喫煙率が男性の喫煙率の何%に当たるかを試算したグラフも併記する。

↑ 喫煙率(男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 喫煙率(男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 喫煙率(男性の喫煙率に対する女性の喫煙率の割合、年齢階層別)(2019年)
↑ 喫煙率(男性の喫煙率に対する女性の喫煙率の割合、年齢階層別)(2019年)

男性と女性で喫煙率のピークが異なること、減退の仕方の違いなどがよく把握できる。喫煙の理由は多様で人それぞれだが、男性が40代前半、女性が40代後半でもっとも高い値を示している状況を見るに、ストレス解消の面も多分にあるのだろうなと再確認させられる次第ではある。

■関連記事:

【日本同様に減少中…アメリカ合衆国の喫煙率推移をグラフ化してみる(CDC版)(最新)】

【喫煙率が高いのはどの都道府県の人だろうか(最新)】

※国民生活基礎調査

全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2019年6月6日に世帯票・健康票・介護票、同年7月11日に所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票・健康票が21万7179世帯分、所得票・貯蓄票が2万2288世帯分、介護票が6295人分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2019年分)は大規模調査に該当する年であり、世帯票・所得票以外に健康票・介護票・貯蓄票の調査も実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分はデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事