プレミアムフライデー導入は3.1%…働き方改革のサラリーマンへの浸透実情をさぐる(2020年公開版)
プレミアムフライデーの導入や長時間労働への対策など、企業における就業者の働き方に関する改革「働き方改革」が推進されている。それでは「働き方改革」はサラリーマンにはどの程度浸透しているのか。新生銀行の定点観測的調査報告書「サラリーマンのお小遣い調査」(※)の最新版から、その実情を確認していく。
まずは調査対象母集団のサラリーマン、つまり男性会社員(正社員・契約社員・派遣社員)において、就業先で働き方改革があったか否かを尋ねたもの。具体的には残業減少、有給取得容易、定時帰宅増加、テレワーク化、有給日数増加、時差出勤、プレミアムフライデー導入、時短勤務、育児休暇容易化を挙げ、それ以外の「その他」も合わせ、働き方の改革と認識できるような施策が行われたか否かを尋ね、直近1年間であったと答えた人の割合。
回答者のうち新入社員は入って間も無い(回答時期は4月の頭)のため、就職してすぐに働き方改革云々と言われても分からない、認識できない人もいるため、実際にはもう少し上乗せされるのだろうが、全体では56.0%が実施されたと回答している。企業規模別では規模が大きいほど改革実施率が高く、中小企業では働き方改革の導入が難しい実情が見えてくる。
それでは具体的にどのような施策が行われたのか。「その他」を除いてグラフにした。
全体では残業が減ったとする人が54.2%、次いで有給が取りやすくなったとする人が41.1%、定時で帰宅できる機会が増えたとする意見が24.5%。
企業規模別ではややばらつきがあるものの、残業減少やテレワーク化、有給日数増加は従業員規模が大きいほど実施率が高く、時差出勤や時短勤務などは従業員規模が小さいほど実施率が高い。従業員規模により、手掛けられる対象に違いがあるようだ。10人以下の企業では36.0%が定時帰宅が増加したとし、従業員規模別では一番大きな値が出ているのは興味深い。もっとも対象となる回答者は25人でしかなく、統計上のぶれが生じている可能性はある。
この値は働き方改革があった人(企業)限定での値。あったか否かの値も資料では示されているため、両者を掛け合わせることで、全体としてどれほどの割合で実施されていたのかを計算することができる。その結果が次のグラフ。たとえば全体でプレミアムフライデーの導入は3.1%とあるので、サラリーマン全体においてプレミアムフライデーが導入されたのは3.1%ということになる(回答時に「直近1年間において」なので、すでに導入済みの企業従業員では回答しなかった可能性も多分にある。つまり「プレミアムフライデーが導入されている企業が3.1%」ではないことに注意が必要)。
サラリーマン全体では残業が減ったとする意見は30.4%、有給が取りやすくなったとの意見は23.0%。実施内容、質に違いはあるが、おおよそ企業規模が大きいほど多方面で働き方改革が実施されたとの意見が寄せられている。企業側・部署や就業内容による事情もあるのだろうが、企業規模を問わずに働き方改革(改善化)を推し進めてほしいものではある。
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※サラリーマンのお小遣い調査
直近年分となる2020年分は2020年4月10日から14日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2717人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料では多くを占める会社員は男性1252人・女性841人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が40.7対59.3、女性は54.3対45.7。今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではないことに注意。
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