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鮮度か単価か特売品か? 野菜購入時の重視点をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スーパーに並ぶ多様な野菜。選択時の着眼点は。(写真:アフロ)

野菜の選択重視点、鮮度が一番、次いで販売単価

食品購入時のこだわりは他の商品以上のものがある人が多い。一方でそのこだわりがどのような点に向けられるのかは人それぞれ。野菜に関するその実情を、JC総研が2020年3月に発表した、農畜産物の消費行動に関する調査(※)の結果報告書から確認する。

野菜を購入している人に限定した上で、購入時にどのような点を重視しているかを5つまでの複数回答で尋ねたところ、もっとも多くの人がウェイトを置いているのは「鮮度」だった。60.1%の人が野菜は鮮度を重視して購入すると答えている。

↑ 野菜購入時の重視点(5つまでの複数回答、野菜購入者限定)(2019年度)
↑ 野菜購入時の重視点(5つまでの複数回答、野菜購入者限定)(2019年度)

次いで多いのは「販売単価」で56.9%。さらに「特売」が31.3%と続く。鮮度、販売単価、特売の3項目が野菜選別の際の重要な要素との結果に、うなづく人も多いだろう。

価格関連の動きを見ると、第2位の「販売単価」や第3位の「特売」以外にも「予算内」「見切品値引き」などが続く。対象となる種類の野菜であれば、鮮度や量、見た目などは二の次とする考え方だが、スーパーのセールス時間帯や特売コーナーによく足を運ぶ人は、「これだけライバルがいるのか」と思うかもしれない。

味わいにこだわる人も多い。「鮮度」はもちろんだが「旬」「味・食味」なども上位に挙がっている。他方「見た目・形」「色づき・つや」などの見た目を気にする人は「旬」などよりは少ない。他方「国産品」は「旬」の次だが上位につくほど重要視されている。

年齢で変わる着眼点

この野菜購入時の重視点について、年齢階層別で見ていくことにする。年齢による野菜のこだわりの違いがよく出た形となっている。

↑ 野菜購入時の重視点(5つまでの複数回答、野菜購入者限定、上位陣、属性別)(2019年度)
↑ 野菜購入時の重視点(5つまでの複数回答、野菜購入者限定、上位陣、属性別)(2019年度)

既婚は「鮮度」「国産品」、単身は「販売単価」「量の程よさ」を他の属性より重要視している。それぞれの立場の事情(既婚は家族全員のため、単身は自分一人分のみのための食材を調達する。加えて単身はお財布事情が厳しい)が透けて見えてくる。また、特に「特売」「量の程よさ」は単身女性、「鮮度」「旬」「味・食味」は既婚女性が群を抜いて高い値を示しているのも興味深い。

普段から何気なく購入している野菜にも、実は人それぞれの選択基準がある。購入時にあらためて認識してみると、新たな発見があるかもしれない。

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※農畜産物の消費行動に関する調査

直近年度分は2019年9月6日から11日にかけて、全国の既婚女性・既婚男性・単身女性・単身男性に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2108人。男女比はほぼ1対1、年齢階層別構成比は20代以下183人・30代280人・40代346人・50代328人・60代385人・70代以上586人。調査実施機関はインテージ。過去の調査もほぼ同様の条件下で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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