夫婦とも65歳以上のお年寄り世帯で「医者まで1キロ以上」は2割超え(2020年公開版)

↑ 病院が近所にあれば身体の不調の際にも安心なのだが。(写真:アフロ)

年を取ると医療機関のお世話になる機会が増え、通院の手間を考慮した場合、その近場に住んでいることが望ましくなる。また万が一の不測の事態が生じた時のことを考えると、かかりつけの病院が近くにあった方が望ましく、日々の生活においても安心感を覚える。それでは実情として、住宅と医療機関との距離はどのような関係にあるのだろうか。総務省統計局が2019年4月に発表した、2018年時点における住宅・土地統計調査の速報集計結果から確認をする。

「自分の住まいから最寄りの医療機関までの距離」について、世帯の内情を高齢者がいるか否か、具体的には高齢者がどのような立場なのかの観点で区分した上で確認をした結果が次のグラフ。高齢者がいる・いないを問わず世帯全体なら17.5%の世帯が「自宅から医療機関まで1キロ以上あり、歩いて行くのには難儀させられる、近場に医療機関が無いと認識している」との住宅に住んでいることになる。

↑ 最寄りの医療機関までの距離別世帯比率(世帯構成別)(2018年)
↑ 最寄りの医療機関までの距離別世帯比率(世帯構成別)(2018年)

高齢者の立ち位置の上で区分した世帯構成別に見ると、全体よりは医療機関に対して近場にあることが多いのは高齢者の単身世帯。75歳以上に限定した単身世帯も、1キロ以上の人こそ18.8%といくぶん多めだが、250メートル以内の人は31.0%と65歳以上の単身世帯に次ぐ多さを占めている。高齢者の単身世帯は病的リスクを自認し、医療機関の近場に住むような努力をする傾向が強いようだ。

他方高齢者の単身世帯以外では一般的に、世帯全体よりも高齢者がいる世帯の方が医療機関から遠いところに位置しているのが分かる。特に「65歳以上の世帯員がいる世帯」(65歳以上の単身世帯以外に65歳以上の夫婦世帯、さらには65歳以上の世帯員以外にそれより下の年の世帯員がいる世帯も含む)は遠方の感が強い。賃料や地価の面で過ごしやすい地方の方が高齢者が多く、面積あたりの医療機関数が少ないことに加え、高齢者「以外」の世帯構成員がいることで安心感がある、何かあった時の即時対応性が高い世帯も含まれているのが要因だろう。

歩きで医療機関まで足を運べない、つまり自動車などの移動機関を自前で持つか、タクシーを呼ぶ・バスを利用する機会がない場合、救急車などを呼ぶしかない状況にあると想定できる「医療機関までの距離が1キロ以上ある」場所に住んでいる高齢者が結構な割合におよんでいることに違いはない。

すべての地域に対し、一定区間ごとに医療機関を配するのは、リソース配分の上で事実上不可能。医療機関とて人間が就業することで運用され、その維持には相応のコストが必要となるからだ。一方で、医療サービスを受け難い環境は高齢者にとり、不安なのも事実。往診サービスの拡充や定期健康診断の実施をするなり、無料や安価な地域バスの運行などの配慮が求められよう。他方、とりわけ万一の事態が発生した時のリスクが高くなる高齢者の単身世帯においては、ご近所づきあいを心がけ、助力を受けられるように心がけるべきである。

また発想を逆転し、医療機関に限らず各種設備が近場にある、整った環境下に集団で移住してもらう、集約化するとの発想も検討すべきかもしれない。

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