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約3割は肥満か過体重…アメリカ合衆国の子供の肥満状態をさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 肥満解消には運動も必須。アメリカ合衆国の子供達の肥満度合いは?(写真:アフロ)

14~17歳で肥満判定は14.8%

食生活などの影響で成人では肥満体型の人が多い(2018年時点でBMIが30.0以上の18歳以上の人は30.9%)アメリカ合衆国。子供達も同じように肥満の割合は大きいのだろうか。その実情を同国の医療保険関連の公的機関CDC(Centers for Disease Control and Prevention:疾病予防管理センター)の部局BRFSS(Behavioral Risk Factor Surveillance System)の公開値から確認する。

まず図中で使われる「BMI」について。これは「肥満」度合いを示す基準の一つで「体重÷身長÷身長」で算出される。日本肥満学会ではBMIが22.0で平均的体格・体重、25.0以上を太り気味、18.0以下をやせ気味としている。今件データを用いるアメリカ合衆国では

・Underweight(やせ型)……18.5未満

・Normal weight(標準)……18.5~24.9

・Overweight(過体重)……25.0~29.9

・Obesity(肥満)……30.0以上

と区分している。

また今回精査する子供の領域だが、年齢は14~17歳。18歳以上の大人と違い、2年毎の計測であるのに加え、計測年によって値が公開されていない(調査が行われていない)州・地域も複数見受けられる。毎回同じ州・地域が未公開なのではなく、年によって未公開州・地域に違いがあるため、前回比では特に値を計算できる州・地域が少なくなってしまうことを記しておく。

それではまず最初に、直近年分となる2017年時点で肥満判定を受けている対象年齢階層の割合。全土の値は計算が可能な州・地域のみの合算平均を独自に算出した。

↑ アメリカ合衆国の14~17歳における肥満判定者などの比率区分(CDC・BRFSS、州・地域別)(2017年)
↑ アメリカ合衆国の14~17歳における肥満判定者などの比率区分(CDC・BRFSS、州・地域別)(2017年)

アメリカ合衆国全土の平均値では14.8%。最大値を示すGuam州では23.0%と2割を超える値を示している。大人における中央値30.9%、3割超えの州・地域が32の状態(CDCの公開値よりから比べれば、かなり低い値に留まっているが、それでもなお、見方を変えれば高校生ぐらいの時点ですでに1割以上が肥満状態にある。

肥満状態の人が少ない州・地域は過体重状態の人もおおよそ少なく、「標準」と「やせ型」の割合は大きい。この状況は大人と変わらない。全土平均では「肥満」と「過体重」でほぼ3割。3割しか、なのか、3割も、なのかは判断が難しいところだが、仮に一つのクラスが30人で構成されていた場合、そのうちの9人は「肥満」か「過体重」、「肥満」に限れば4人強という状況は、決して少ない数ではない。

子供の肥満も増加中

続いて前回調査結果からの肥満率の増減。子供への調査は2年おきであることから、2015年との比較となる。また2015年・2017年どちらの年でも未公開だった州・地域はすべて除いている。

↑ アメリカ合衆国の14~17歳における肥満判定者比率(BMI30.0以上、CDC・BRFSS、2015年から2017年への変移、公開値のある州・地域のみ、州・地域別、ppt)
↑ アメリカ合衆国の14~17歳における肥満判定者比率(BMI30.0以上、CDC・BRFSS、2015年から2017年への変移、公開値のある州・地域のみ、州・地域別、ppt)

値を計算可能なのは35州・地域(全土除く)。そのうちプラスは25州・地域、最大値は3.7%ポイント。逆に最小値はマイナス1.4%ポイント。全土ではプラス0.9%ポイント。確実に増加状況にあることが確認できる。

子供のうちから肥満対策には手を打っておかないと、行動がより自由になる大人では、歯止めが利かなくなる可能性が高い。食生活をはじめとした肥満の要素に関して、正しい指導が欠かせまい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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