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職場における男女の地位の平等感の実情をさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 職場では男女間の公平さはどのように認識されているのか。(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

能力や経験、資格の有無ではなく、単純に男女の違いで男性、あるいは女性が優遇されるという、男女間における地位の不平等さ。職場に関してはどのような認識がされているのだろうか。内閣府が2019年11月に発表した「男女共同参画社会に関する世論調査」(※)の結果から確認していく。

回答者自身が認識する男女の地位の平等感について、「職場」の観点で「男性が非常に優遇」「男性が優遇」(以上男性優遇派)、「女性が優遇」「女性が非常に優遇」(以上女性優遇派)、そして「平等」「分からない」の計6選択肢の中から選んでもらった結果が次のグラフ。全体では53.4%の人が男性優遇派となった。「平等」は30.7%、女性優遇派は5.0%に過ぎない。

↑ 職場における男女の地位の平等感(男女別)(2019年)
↑ 職場における男女の地位の平等感(男女別)(2019年)
↑ 職場における男女の地位の平等感(男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 職場における男女の地位の平等感(男女別・年齢階層別)(2019年)

ぱっと見で青系統色の面積が大きいことから、認識の上では男性優遇派であるとの認識の意見が多数を占めていることが分かる。「平等」は3割前後に留まっており、少なくとも「職場では男性の方が優遇されている」との雰囲気が支配的な様子がうかがえる。

いくつか特徴を挙げてみると、男女別では多少の違いはあれど「男性は『女性優遇』」「女性は『男性優遇』」の値が、相対する性別よりも大きい。また男女とも30~40代にかけて男性優遇派の値が大きくなっているのが興味深い。職場での経験を経て昇進したり多様な方面で活躍の場を与えられるに連れて、男性が優遇されていると認識できる機会が多々得られるということか。

他方50代では男女間で男性優遇派の認識に小さからぬ差が生じている。特に「男性が非常に優遇」の回答率には2倍以上の差が生じている。多くの人が職場ではそれなりの立ち位置にあることを考えると、この年齢階層の認識の違いが男女の性別で発生する問題の一因なのかもしれない。

また男女とも60代以降は、特に女性の70歳以上は「分からない」の値が非常に高くなっている。これは退職などで職場の実情が分からなくなるのが原因だと思われる。

なお今回のデータはあくまでも回答した人の主観による認識。具体的な制度や数字に基づいた、男女平等の関係を示したものではない。その点に注意をした上で、データを見てもらえるとありがたい。

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※男女共同参画社会に関する世論調査

数年に一度、不定期の形で実施されているもので、直近分は2019年9月5日から9月22日にかけて、日本国内に居住する18歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段無作為抽出法によって抽出された者を対象に、調査員による個別面接聴取法で行われた。有効回答数は2645人。男女比は1238人対1407人。年齢階層比は18~19歳55人・20代186人・30代279人・40代445人・50代448人・60代520人・70歳以上712人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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