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平日も休日もテレビがお友達な高齢層…テレビの利用実情を年齢別にさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 高齢層はテレビが大好き。利用実情は?(写真:アフロ)

4大従来型メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の中でも一番市場規模が大きく利用者も多数、メディア力(りょく)も大きいのがテレビ。そのテレビの利用状況は時間帯、利用する人の年齢により大きな違いがある。その実情を総務省が2019年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の報告書や公開値を基に確認する。

今件の「行為者」とは10分以上連続して利用した人のことを指す。そしてテレビ(生)に該当する行為とは、テレビ番組のリアルタイムによる視聴を意味する。パソコンのチューナー利用による視聴やモバイル端末によるワンセグ視聴も含まれる。

まずは平日。就業中や授業中にテレビを観る機会はあまり想定できないため、日中は押し並べて値は低い。

↑ テレビ(生)の時間帯別行為者率(平日、年齢階層別)(2018年)
↑ テレビ(生)の時間帯別行為者率(平日、年齢階層別)(2018年)

それでも10代と比べて20~50代で高めの値が出るのは、無職の人や専業主婦の人がいるからに他ならない。あるいは夜間就業の人も当てはまるだろう。報告書の詳細データには男女別の値も掲載されているが、それを見ると日中における現役世代の値は押し並べて女性の方が高い(グラフ化は略)。10代は学校の授業で観る機会はほとんどないものの、大学生で授業が休みの場合もあるため、ゼロでは無い。一方20代以降は12時台でやや高めの値を示しているが、これは昼食の休憩時間に外食先でテレビを視聴する、あるいはワンセグなどを利用する機会があるからだと考えられる。専業主婦などはお昼時に食事をしながらテレビの番組を観る機会も多いだろう。

学校や仕事が終わる17~18時台ぐらいから、行為者率は急上昇の動きを示す。そして夕食時にかけて上昇は続き、夕食とその後の家族団らん的なリラックスタイムまで視聴は続く。20~22時台がピークで、それ以降は24時台にかけて急激に行為者率は下がる。10代は早めの就寝時間の人もいるため、ピークに至るまでの盛り上がりがやや前倒しとなっている。

そして60代だが、朝食時以降値が低下するのは他の階層と変わらないものの、低下しても一定率はテレビを視聴し続ける。回答時点で就業している人もいるが、多分に定年退職を迎えて自宅でテレビを観ている人がいるからに他ならない。昼食時の上昇、夕方以降の上昇も他階層と同じ傾向だが、日中も仕事などに従事をする必要もなく、視聴し続けている人がいるために、底値が高い。ただしテレビから離れて就寝をする時間は他の階層より早く、ピークは20時台。

これが休日になると少々趣が変わる。

↑ テレビ(生)の時間帯別行為者率(休日、年齢階層別)(2018年)
↑ テレビ(生)の時間帯別行為者率(休日、年齢階層別)(2018年)

就業・授業の足かせが取り払われるために視聴傾向はどの年齢階層でも同じになるように思える。しかしやはり平日同様、おおよそ年上であるほど行為者率は高く、若年層ほど低い。休日でもテレビよりも他に、することがあるのだろう。

60代はといえば視聴傾向そのものは他年齢階層とさほど変わらないものの、行為者率そのものは他の年齢階層より高く、さらに平日の60代よりも高い。朝食時には40%を超え、お昼時でも30%近く、午後に入ってからも20%超の値を示し続けている。休日はより多くの人がテレビに夢中のようだ。

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※平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2019年2月23日から3月1日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

なお今調査は例年11~12月にかけて行われるが、直近分は翌年の2~3月となっている。グラフや本文上の表記や考察は、報告書に準ずる形で2018年と表記する。また調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが生じているが、報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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