4マスは全部がマイナス、インターネット広告は堅調(経済産業省広告売上動向2019年8月分)

↑ 日常生活に浸透する広告の動向。経済産業省による直近発表分では?(写真:アフロ)

4マスは全部門が前年同月比でマイナス

経済産業省が先日発表した「特定サービス産業動態統計調査」の結果によれば、2019年8月分の日本全体の広告業全体における売上高は前年同月比でマイナス0.2%となり、減少傾向にあることが分かった。主要業務種類5部門(4マスとも呼ばれる4大従来型メディアである新聞・雑誌・テレビ・ラジオと、新形態の広告媒体となるインターネット広告)では新聞・雑誌・テレビ・ラジオはマイナス、インターネット広告はプラスを示した。下げた部門ではラジオが一番下げ幅は大きく、マイナス4.3%を示している。

↑ 4大従来型メディアとインターネット広告の広告費(前年同月比)(2019年7~8月)
↑ 4大従来型メディアとインターネット広告の広告費(前年同月比)(2019年7~8月)

今件グラフの各値は前年同月比を示したもので金額そのものではない。また前回月分からの動きが確認しやすいよう、2019年7月分のデータも併せてグラフに反映している。

ここしばらくは軟調が続いている4マス(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ)だが、今回月ではすべての部門でマイナスを示した。新聞は前回月において2019年7月21日に投開票された第25回参議院議員通常選挙が大きく影響したことでプラスとなったが、あくまでも特需的なものだったようだ。

2015年以降4マスは概して軟調が続いている。特に紙媒体の新聞と雑誌は下げ基調が止まらず、今回月の2019年7月分に至っても、2015年以降でプラスを示した月は、雑誌では2015年4月に示したプラス2.5%、新聞では2017年10月のプラス9.5%と2019年1月のプラス0.9%、2019年7月のプラス3.3%と、合わせて4回のみとなっている。2ケタ台の下げ率を見せたのは新聞が10回、雑誌は17回。1年分を超えてもなお前年同月比でマイナスが続いているのは、単なる反動を超えた、中期的な下げの中にあることを意味している。

↑ 4大従来型メディアとインターネット広告の広告費(前年同月比)(2014年1月以降)
↑ 4大従来型メディアとインターネット広告の広告費(前年同月比)(2014年1月以降)

一方、インターネット広告は前回月に続きプラスを示す形となった。公開されている広告部門の中では一番大きな上げ幅を示している。

なお主要業務種類以外の屋外広告など(一般広告)の動向は次の通り。

↑ 一般広告の広告費(前年同月比)(2019年8月)
↑ 一般広告の広告費(前年同月比)(2019年8月)

今回月では海外広告がマイナス13.0%となり、一般広告だけでなく全広告部門で最大の下げ幅を示している。もっとも金額は19億円とさほど大きいものではないため、売上高合計に与える影響も微々たるものだろう。

新聞とインターネット広告の金額差は約2.97倍

業務種類別の具体的売上高は次の通り(億円単位における小数点以下は四捨五入しての表記となる)。

↑ 月次広告費(億円)(2019年8月)
↑ 月次広告費(億円)(2019年8月)

ここ数年で新聞とインターネット広告の金額的な立ち位置は逆転してしまった。現時点では2014年1月を最後に、毎月の新聞の広告費の金額はインターネット広告の金額を超えておらず、金額面で主要業務種類5部門の上位順位はテレビ・インターネット広告・新聞の順となっている。

今回月では両者の金額差は約373億円。約2.97倍の差がついている。もちろんインターネット広告の方が上。「従来型メディアの紙媒体全体の広告費」は約241億円で、これはインターネット広告費よりも下。つまり今回月も前回月に続き「インターネット広告の売上高が、大手4マスのうち紙媒体全体の広告費を上回った」ことになる。

次のグラフは主要業務種類5部門、そして広告費総計(主要業務種類5部門以外の広告も含むことに注意)について、公開されているデータを基にした中期的推移を示したもの。今調査でインターネット広告の金額が調査されはじめたのは2007年1月以降なので、それ以降に限定した流れを反映させている。

↑ 4大従来型メディアとインターネット広告の広告費(前年同月比)
↑ 4大従来型メディアとインターネット広告の広告費(前年同月比)

雑誌と新聞の折れ線がグラフ中では「0%」よりも下側に位置する機会が多い。これは金額が継続的に減っていることを意味する。前年同月と比べてマイナスの値が続けば、金額が漸減していくのは道理ではある。そして効果が上がらない、広告力(世間一般に働きかけられる影響力。メディア力)の無いメディアに広告費を継続して大量投入することは、少なくとも広告の直接対価によるものとしては想定しがたいので、雑誌・新聞の広告力が漸減していると広告主からは判断されているようだ。

昨今の動向を見返すと、やや起伏は大きいもののインターネット広告が確実に上昇基調(プラス領域)にあり、他の業種とのかい離が生じていること、テレビがプラスマイナスゼロ付近でもみ合いをしているのが分かる。ラジオも似たような動きだったが、2017年初頭あたりから失速したようだ。

2015年に入ってから4マスの軟調さが際立ち、現在に至るまで紙媒体では継続しているのも気になる。2014年同月からの反動でも無く、広告市場における何らかの動きが生じている可能性は否定できない。

他方、インターネットも2017年以降伸び率がやや頭打ち、むしろ低下を示しているのが気になる。無論プラス圏内は維持しているので、成長を続けていることに変わりは無いのだが。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

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