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専業主婦とパート主婦、家事時間の違いをさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 炊事、洗濯、掃除…家事は多様におよび、時間も体力も消費される。(写真:アフロ)

一人暮らしなら家事は当人が行うのが原則だが、夫婦世帯では「夫が就業、妻が家事」との役割分担が基本。もっとも最近では夫への積極的な家事参加を求める声がある。妻の家事に携わる時間の実情を、2019年9月に発表された全国家庭動向調査(※)の結果から確認する。

次に示すのは妻が専業主婦か、それとも何らかの形で仕事をしているか否かで、家事時間(今件には育児は含まれていない)にどれほどの違いがでるかについて。兼業主婦の増加という現実から分かる通り、家計をサポートするために働きたいとする需要が主婦には多分にある。しかし1日は24時間しかないがため、働く時間が多くなるに連れ、家事の時間が減ってしまうのはものの道理ではある。

↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事時間(平日)(2018年)
↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事時間(平日)(2018年)
↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事平均時間(平日、平均、分)
↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事平均時間(平日、平均、分)

専業主婦と常勤主婦との間には約2倍もの家事時間の違いがある。なお今値は「平日」の家事時間を示したものだが、「休日」における従業上の地位別家事時間の公開値は無い。ただ、妻の年齢階層別のデータ(こちらは「平日」「休日」双方が用意されている)を確認すると(グラフ化は略)、20代・30代では平休日の差は数分程度だが、パートに勤めることが多い40代・50代となると数十分単位で休日の方が長い、つまり平日よりも休日の方が家事時間が大きく増加する傾向が確認できる。就業している女性は平日では手掛けられなかった家事を休日に補完している状況が見て取れる。

一方、常勤で働く妻でも、32.3%は「平日に」4時間以上家事をこなしていることになる。朝出かける前に朝食の支度などに1時間かかるとしても、帰宅後に3時間以上。帰宅が午後6時だと仮定すると、家事だけで最低でも午後9時までかかることになる。自宅での時間はほぼ家事で費やされる計算となる。ましてや「8時間以上」の人など睡眠時間がいかほどか、想像するに心配が募るばかり。

もっとも「常勤」の内容も多様で、例えば半日作業が常といった場合も考えられる。また、質問票の限りでは家事に限らず行動にかかる時間はその行為のみに従事した場合だけではなく、いわゆるながら行動も加味しているので、他の行動も兼ねながら家事をしている可能性も多分にある次第ではある。

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※全国家庭動向調査

国立社会保障・人口問題研究所が5年おきに行っている調査で、家庭機能の変化の動向や要因を正確に把握するため、家庭での出産、子育ての現状、家族関係の実態を明らかにすることを目的としている。直近分となる2018年分は、2018年に調査票を配布、同年7月1日時点についての事実の記入をしてもらい、回収した結果を集計したもの。有効回答票数は10965票で、今件はそのうち有配偶の女性(つまり結婚した状態で夫がいる妻)が回答した6142票を分析対象としている。妻の年齢区分は29歳以下2.6%・30代13.2%・40代20.2%・50代20.0%・60代23.7%・70歳以上20.2%。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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