圧倒的増加を見せる中国…主要国の一次エネルギー消費量推移をさぐる(2019年公開版)

↑ 工業化の進行もエネルギーの消費を底上げする一因。(写真:ロイター/アフロ)

10年間で大きく消費が増える国、減る国

イギリスに本拠地を構える国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー白書「Statistical Review of World Energy」には、主要国のエネルギーに関する多彩なデータが盛り込まれており、これを用いることで各方面から諸国のエネルギー動向を推し量れる。今回はそれを活用し、中期にわたる主要国における一次エネルギー(※)消費動向を見ていくことにする。

最新の公開分となる2018年分データでは、一次エネルギーをもっとも多く消費している国は中国、次いでアメリカ合衆国の順。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)

直近の2018年時点における上位国10か国について、過去10年分をさかのぼり、その動向を追ったのが次のグラフ。上位5位に限っては折れ線グラフも別途生成した。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(2018年時点の上位国、石油換算・億トン)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(2018年時点の上位国、石油換算・億トン)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(2018年時点の上位5か国、石油換算・億トン)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(2018年時点の上位5か国、石油換算・億トン)

中国の工業化が急激に進んでいることは、他の各種資料でも明らかだが、それに伴い一般市民の生活水準も向上。それが元々人口の多い同国のエネルギー消費量増加に拍車をかける形となっている。つまり人口増加×一人あたりのエネルギー利用量増加で、累乗的に消費量は増えていく。産業面でも似たような状況なのは明白。

上記グラフにある通り、米中両国間でエネルギー消費量が逆転したのは2009年。アメリカ合衆国が景気後退や省エネ化の促進でエネルギー消費量を漸減している一方(技術や経済力、工業力の伸張が、必ずしもエネルギー消費量の増加には連動しない)、中国は漸増を続けているのだから、両国間でクロスが生じるのも当然の話。双方のエネルギー政策、消費動向に変化は無く、時間の経過とともに差異はさらに開く傾向にある(アメリカ合衆国は経済が復調してきたこともあり、ここ数年はほぼ横ばいとなっている)。

また、インドと日本においては、米中同様に日本の漸減・インドの増加により、こちらも2009年に逆転現象を起こしている。インドにおける2018年の前年比はプラス7.9%。非常に大きな伸び率に違いない。

前年比の推移をさぐる

これら諸国のエネルギー消費量について、前年比計算をした上でグラフとして生成したのが次の図。多数国を一枚に収めるため、多少見難くなるが、あえて棒グラフにしている。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(前年比、2018年時点の上位国)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(前年比、2018年時点の上位国)

多くの国で2009年の値が大きなマイナス値を示している。これはリーマンショックの直接の影響を受けて、産業・消費が停滞、その分エネルギー消費量も減少したのが原因。その反動もあり、2010年はそれなりにプラスを示しているが、それ以降は息切れしている国も少なくない。

一方で、上記に挙げた中国やインド、さらにはブラジル、イランでは金融不況やリーマンショックの影響もほとんど受けず、ほぼ継続的にエネルギー消費量を増やしている。特に中国とインドはその上げ幅も大きく、絶え間無い伸びを示しているのが分かる。他方、オリンピック開催中のブラジルでは伸びが失速している。他の経済指標にも似たような動きがあり、同国の経済が複数要因で失速したことが表れている。

エネルギー系の記事では繰り返し述べているが、そして本文でも言及しているが、「エネルギーの消費量」はあくまでも産業・経済の発展を示す一つの指標に過ぎず、絶対的なものではない。例えば他の条件が同じなら、人口が多い国の方が量も大きくなるのは当然の話である。また、エネルギーの消費効率(要は無駄使いしているか否か)でも大きな変化か生じる。単に多ければよいわけではない。GDPなどと同等に、一律に扱うのは難がある。

今件「一次エネルギー消費量」はそれらを把握した上で、眺めることをお勧めしたい。

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※一次エネルギー

自然界に存在するそのままの形を用い、エネルギー源に使われているものを指す。化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)、ウラン、そして水力、火力、さらには太陽熱・太陽光・地熱などの再生可能エネルギーが該当する。他方「二次エネルギー」も存在するが、これには電気やガソリンなど、一次エネルギーに手を加えて得られるエネルギーなどが対象となる。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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