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「毎朝しっかりと朝食を食べている」中学生は8割強(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 一日の始まりの食事、朝食。忙しさなどで抜いている人も少なくないが。(写真:アフロ)

成長期においては特に欠かせないとされる朝食は、どのような摂取状況を示しているのだろうか。若年層を中心とした朝食の欠食状況を、内閣府が2019年6月に発表した2019年版となる「子供・若者白書」の内容などを基に探る。

昨今の「食育」の言葉に代表されるように、心身が大いに育まれ、人格形成の多分を成す成長期においては、健全な食生活の環境下におかれることが、豊かな人間性を構築する大きな要因として重要視される。しかし現実問題として、朝食を欠いている若年層が少なくないのも事実。

無論朝食を抜く理由としては「寝起きが悪い」「朝食時は食欲がわかない」などの個人の特性によるところもある(無理をして食べることは逆に生活の質の上でマイナスとなる)。一方で子供当人や朝食を用意をする保護者の時間上の都合、さらには手間を嫌がることの結果として、子供本人は朝食を欲しているのに、摂取できない事例も多分に想定できる。

白書では以前、文部科学省の「全国学力・学習状況調査」の結果を用い、小中学生の朝食摂取状況のデータを掲載していた。そこで原典となる「全国学力・学習状況調査」をたどり、最新の値を反映させたのが次のグラフ。2019年度時点では毎朝しっかりと朝食を摂る人は、小学生では86.7%・中学生では82.3%に留まっていた。なお2011年度は震災のため調査は中止されており、結果は存在しない。

↑ 朝食欠食状況(小学生・中学生)
↑ 朝食欠食状況(小学生・中学生)

現状としては数%の小中学生が朝食を「まったく食べていない」「あまり食べていない」とし、10%内外は「食べてはいるが毎日では無い」状態。経年で比較するとほんのわずかずつではあるが小中学生ともに常時食べている人が減り、どちらかといえば食べている人やあまり食べていない人が増えている。

気分的な問題や生活リズムの特性、時間の無さ、あるいは個人のポリシーによるものなど、理由はさまざまなだと推測されるが、本人が望んでなお欠食せざるを得ないケースにおいては、状況の改善を願いたいところ。

また男女別に見ると、幼児までは女性の方が高い値を示すが、年を取ると男性の方が欠食率が高くなる。こちらは厚生労働省の「国民健康・栄養調査」を基にしており、白書掲載分の2012年分が最新の値となっている。「国民健康・栄養調査」において2013年分調査結果以降では、未成年者の朝食摂取状況の調査結果が非公開のため、参考として若年層に該当しうる年齢階層でもっとも若い属性の20代につき、直近分までの経年変化をグラフ化する。

↑ 朝食の欠食率(1~29歳、男女別)(2012年)
↑ 朝食の欠食率(1~29歳、男女別)(2012年)
↑ 朝食の欠食率(20代、男女別)
↑ 朝食の欠食率(20代、男女別)

20代の男性ではおおよそ3人に1人が、女性でも4人に1人ぐらいが朝食を抜いている(この「朝食抜き」には「錠剤や栄養ドリンクなどのみ」「菓子、果物、乳製品、嗜好飲料などの食品のみ」も含まれる)。健康上やライフスタイルの都合以外に多忙で食事を作る・食べる暇が無い、午前中の睡魔対策、回答者自身が考える健康法の実践など理由は色々と考えられる。

ただし「朝食抜き」の定義を見返す限り、シンプルな朝食スタイルとして栄養補充系の菓子や果物のみのパターンを確立し、自分自身では朝食を抜いている意識はまったく無くとも、カウントされている可能性は高い。朝食時間帯はまだ食欲が生じず、あっさりとしたもので済ませてしまう人もいることを考えれば、朝食用の食材が多様化する昨今、見方次第ではもう少し朝食欠食率の値は落ちるのでは無いかと考えられる。

ともあれ、健康維持・増進のための食習慣としてはもちろん、家族とのコミュニケーションの場面としても食事は重要。とりわけ成長過程にある学生においては、当人が望むのであれば、そして身体上必要であると判断されるのならば、さらなる朝食の充足が求められよう。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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