携帯ゲーム機の保有実情をさぐる(2019年公開版)
携帯ゲーム機は2割強の世帯に
本体に小型の表示画面を搭載し、単体でゲーム機としての機能が完結している携帯ゲーム機。一般世帯における世帯ベースでの保有状況を、総務省が2019年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に確認する。
最初に示すのは、属性別の世帯単位での携帯ゲーム機の保有状況。調査票には「インターネットに家庭用ゲーム機のうちディスプレイが付いているもの(Nintendo 3DSなど)」と説明がある。また、「過去1年間に一度も使用していない機器や職場の経費で購入した機器は『保有していない機器』としてください」とあるため、保有はしているが押し入れに押し込んだままの状態となっている端末は該当しない。ニンテンドースイッチは据置型ゲーム機なのか携帯ゲーム機なのか判断が難しいところだが、回答者の判断次第というところか。あるいは据置型ゲーム機と携帯ゲーム機の双方で回答している可能性はある。なお「高齢世帯」とは高齢者のみで構成されている世帯を意味する。人数は不問。
世帯ベースでの携帯ゲーム機の保有率は20.2%。大体2割の割合。世帯主が40代の世帯では一番保有率が高く39.4%、30-40代は3割を超えている。世帯構成別では高齢者が含まれる世帯で低め、子供がいる世帯では高めとなっている。子供が主に使うからだと考えれば道理は通る。
世帯年収別ではややばらつきがあるものの、おおよそ高年収ほど高保有率を示す。200万円未満の世帯では7.8%だが、年収の増加とともに上昇し、800-1000万円未満で32.9%。それ以上の年収の世帯で値が下がっていくのは、世帯年収そのものよりも、それに連動する傾向が強い世帯主の年齢に影響を受けているからだと考えられる(世帯主の年齢が上になるに連れて、世帯年収も上がる傾向がある)。
保有台数の実情は
続いて具体的な保有台数を確認する。前述の通り、過去1年間に一度も使っていない端末は対象外となるので、実質的には現在稼働中の台数と見てよい。
まずは世帯主年齢階層別。
40代の世帯が保有率だけで無く、2台以上の保有世帯率でも一番となっている。次いで30代、20代。具体的な機種名は調査対象外だが、おおよそソニーと任天堂の機種を1台ずつだろうか。あるいはどちらかのメーカーの機種において、最新世代機種と一世代前の機種をともに保有しているかもしれない(任天堂の機種を複数台保有している事例は多そうだ)。
50代以降では急激な保有世帯率の減少が生じているが、その保有世帯率に占める複数台持ちの割合に大きな変化は無い。大体保有世帯のうち半数弱の世帯では複数台持ちの状態となっている。
続いて世帯年収別。
世帯年収別ではおおよそ高年収の方が単純な保有率だけで無く、複数台持ちの世帯割合も大きなものとなっていく。ただしピークは800~1000万円世帯で、それ以上の世帯年収になると、保有世帯率も、複数台持ちの世帯割合も減っていく。これは上記でも触れている通り、世帯年収そのものよりも、それに連動する傾向が強い世帯主の年齢に影響を受けているのが原因だと考えられる。
最後は世帯構成別。
子供がいる世帯では保有率が高いだけで無く、複数台持ちの世帯率も高いものとなっている。子供がいる世帯ではおおよそ半数が複数台持ちとなっている。新世代機種への乗り換えを子供にせがまれやすいからなのか、親子そろって楽しんでいるからなのか、別メーカーのハードでそれぞれプレイしたいゲームがあるからなのか。単価も据置型ゲーム機と比べれば安いため、複数台持ちもしやすいのだろう。
逆に高齢者がいる世帯では、保有率が低いだけで無く、複数台持ちの世帯も少なめ。需要があまり無いのだろう。
携帯ゲーム機はテレビを使わずに済むことから、画面は小さいものの機動性に勝り、一人でも楽しむことができるなど、長所が多い。一方で昨今ではスマートフォンで提供されるゲームアプリに押されがちなのは否めない。
全体値では世帯保有率20.2%を示した携帯ゲーム機が、今後どのような動向を見せるのか、次年分以降の動きが楽しみではある。
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※通信利用動向調査
2018年分は2018年10~12月に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対して、郵送による調査票の配布および回収の形式によって行われている(企業向けは一部オンラインでも実施されている)。有効回答数はそれぞれ1万6255世帯(4万2744人)、2119企業。世帯調査における調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。
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