100人に約1人は入院中、65歳以上なら約2.7人…入院・外来率の実情(2019年時点最新版)
医療技術の進歩とともに、多様な病症への対処法が確立され、医療施設で受療可能となり、多くの人が病院へ足を運び、治療・入院するようになった。現在日本における、対人口比の入院・外来受療率を、厚生労働省が定点観測的に実施している「患者調査」(※)の内容から確認していく。
次に示すのは、年齢階層別の入院・外来の受療率。例えば1~4歳の入院受療率は169とあるので、1~4歳までの子供10万人に対し、調査該当日には169人が入院していた計算になる。対人口比は0.169%。およそ592人に1人が入院中。
入院受療数よりも外来受療数の方が桁違いに多い。そして入院受療率はゼロ歳以外、ほぼ年齢階層の上昇とともに値が増えていく。興味深いことに、絶対数では大きな段差が見られた60~64と65~69歳との間もほぼスムーズな流れを示している。これは元々の人口において、65~69歳が多分に及んでいたことを意味する(いわゆる「団塊の世代」)。
とはいえ60歳以降になると上昇率はやや累乗的なカーブを描くようになり、老化による病症の悪化や発症で入院を余儀なくされる事例が増えていくのが分かる。70代も後半になると10万人に2448人が入院。おおよそ2.5%、70代後半の約40人に1人は入院している計算になる。
他方外来受療率は絶対数同様、ゼロ歳から10~14歳まではやや多めで、15~19歳が最少。その後はじわりと増加するが、増加が急ピッチになるのは40~45歳から。「四十肩」なる言葉が思い返される。
対10万人対が1万人を超えるのは70~74歳。この年齢階層では10人に1人以上が通院している計算となる。そして75~79歳から80~84歳がピークで、あとは多少値を減らしていくが、これは通院するような軽度の病症に陥る可能性が減ることを意味する。子供や成人なら多少のケガで済むような事案でも、高齢者では大事に陥ることも多い。
今件各値は対該当属性人口比のため、総人数と誤解しないよう注意する必要がある。一方で、歳を経るほど体の老化が進み、医療機関に頼らねばならない人が増える実情があらためて認識できよう。
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※患者調査
直近分は2017年10月17日から19日のうち、病院毎に指定した1日(診療所は10月17日・18日・20日のうち指定した1日)において、各状況を確認したもの。歯科診療所(いわゆる歯医者さん)は外来のみの調査。患者数は調査日当日の該当人数(抽出調査のため統計値は推計)、退院患者(の在院日数)は同年9月に退院した患者の平均値。なお2011年分は震災の影響で宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏および福島県が未調査のため、それらの地域の統計値は未反映。
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