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手持ちの携帯電話はスマートフォンか否か、アメリカ合衆国の携帯電話事情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スマートフォンと従来型携帯電話。アメリカ合衆国での比率は。(ペイレスイメージズ/アフロ)

最近では携帯電話といえば従来型携帯電話(ガラケー、フィーチャーフォン)を指し、スマートフォンは携帯電話とは別の存在との認識・表現が用いられることが多いが、スマートフォンも携帯電話の一種であることに違いは無い。携帯電話の普及では日本の先を行くアメリカ合衆国でも携帯電話はCell Phoneで、その様態の一つとしてSmart Phone(スマートフォン)が存在すると認識されている。それでは同国の携帯電話所有者における、スマートフォンの所有率はどのような実情なのだろうか。同国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年4月に発表した調査結果報告書

「Declining Majority of Online Adults Say the Internet Has Been Good for Society」(※)から確認する。

次に示すのは過去の同様の調査も含め、携帯電話を所有している人に限定し、その携帯電話がスマートフォンか否かを答えてもらったもの。複数台所有している場合は想定が無いが、択一回答形式のため、例えばスマートフォンと従来型携帯電話双方を所有していた場合はスマートフォン所有と回答したと見た方が自然だろう。なお調査対象母集団全体に占める携帯電話所有率については全調査分は公開されていないものの、直近の2018年1月分では95%、2015年7月分は92%となっている(もちろん固定電話経由での回答限定)。もともと携帯電話の所有率は相当高かったものと考えられる。

↑ 所有している携帯電話はスマートフォンか否か(アメリカ合衆国、携帯電話所有者限定)
↑ 所有している携帯電話はスマートフォンか否か(アメリカ合衆国、携帯電話所有者限定)

もっとも古い値となる2011年5月時点では、スマートフォンが33%、スマートフォン以外が53%。分からない・回答拒否が14%と多めに出ているのは、スマートフォンそのものの社会認知度がまだ低かったのと、スマートフォンとは言い切れない中途半端な性能の端末が少なからずあったからだと考えられる。

スマートフォン以外の値は2011年5月がピークで、それ以降はおおよそ減少。スマートフォンの値との逆転現況が生じるのは2012年4月で、この時スマートフォンは46%・スマートフォン以外は44%。分からない・回答拒否は10%。

それ以降もスマートフォン以外の値は漸減し、スマートフォンの値は増加していく。また分からない・回答拒否はほぼ横ばいで5~7%の領域。そして2016年ぐらいでおおよそピークに達したようで、スマートフォンの値は8割と少々、スマートフォン以外は1割台後半で横ばいに移行する。分からない・回答拒否の値は減り、直近では1%に留まる形となる。

スマートフォン以外の携帯電話を使う人は、携帯電話料金の問題の他に、多機能さを必要としない人、便利であるがゆえにその便利さを敬遠する人など、多様な理由で携帯電話は必要だがスマートフォンである必要は無い人が該当していると考えられる。自宅に固定電話を据え置く人が今でも一定率存在するように、携帯電話においてもスマートフォンを用いない人はある程度の割合で存在し、昨今の横ばい状況はその割合に達した結果なのかもしれない。

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※Declining Majority of Online Adults Say the Internet Has Been Good for Society

アメリカ合衆国内に住む18歳以上の人に対し2018年1月3日から10日にかけて電話によるインタビュー形式で行われたもので、有効回答数は2002人。回答者のうち500人は固定電話、1502人は携帯電話経由。国勢調査の結果に基づきウェイトバックが実施されている。なお回答者のうちインターネット利用者は1785人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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