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老後の生活では公的年金はどれほどあてにされているのか、その実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 公的年金はどこまであてにされているのだろうか。(ペイレスイメージズ/アフロ)

老後の生活において、公的年金はどれほどあてにされているのだろうか。内閣府の世論調査「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」(※)の調査報告書から世間の実情を確認する。

今調査対象母集団では67.8%の人が老後の生活設計を考えたことがあるとの結果が出ている。

↑ 老後の生活設計を考えたことがある人(2018年)
↑ 老後の生活設計を考えたことがある人(2018年)

それではその老後の生活設計を考えたことがある人において、公的年金はどのような位置づけなのだろうか。いくつか選択肢を挙げ、回答者自身の考えにもっとも近いものを選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、男女別)(2018年)
↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、男女別)(2018年)

もっとも多い考え方は「公的年金を中心とし、個人年金や貯蓄などを組み合わせる」で55.1%、次いで「全面的に公的年金に頼る」が23.0%、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」が15.5%。個々のお財布事情や人生設計などにより内情はさまざまだが、全体では2割強の人が公的年金には頼るだけの実情が備わっていないとの認識と見てよいだろう。

男女別では女性の方が公的年金への信頼度が高いように見える。「全面的」「中心」を合わせると、公的年金をそれなり以上に頼りにしている人は男性で75.9%だが女性では79.9%となっている。

さらに年齢階層別に区切り直したのが次のグラフ。

↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、男女別・年齢階層別)(2018年)
↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、男女別・年齢階層別)(2018年)

全体としては女性の方が公的年金への信頼度が高いのだが、年齢階層別に見ると18~29歳ではむしろ男性の方が高い結果が出ている。公的年金をそれなり以上に頼りにしている人は男性ではほぼ7割だが女性では6割強。もっとも全体としてはおおよそ若年層ほど公的年金への信頼度が低く、年が上になるに連れて高くなっていく。

ただし「年が上になるほど公的年金への依存度が高い」傾向は、公的年金への信頼が高いからなのか、額としては満足のいかないものでも頼らざるを得ない実情を示しているのか、あるいは甘い見積もりで判断している(していた)のか、その内情までは分からない。ともあれ70歳以上の4割台は、老後の生活設計において「全面的に公的年金に頼る」と考えていたことに違いは無い。

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※老後の生活設計と公的年金に関する世論調査

2018年11月1日から18日にかけて日本国内に居住する18歳以上の日本国籍を持つ男女から層化2段無作為抽出法によって選ばれた5000人に対し、調査員による個別面接聴取法によって実施されたもので、有効回答数は2919人。男女比は1369対1550、年齢階層比は18~19歳39人・20代192人・30代340人・40代517人・50代475人・60代553人・70歳以上803人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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