アメリカ合衆国の日本への一般人の信頼度87%・有識者は86%(2018年12月発表版)
外務省が2018年12月に発表したアメリカ合衆国における対日世論調査「米国における対日世論調査」(※)の結果によると、同国の一般人の87%・有識者の86%が「日本は信頼できる友好国である」と認識していることが分かった。
「日本はアメリカ合衆国の信頼のおける同盟国・友好国(友邦)か否か」という設問で、イエスと答えた人の割合は一般人で87%、有識者で86%に達した。調査の限りでは今回年度ではじめて、一般人の回答率が有識者の回答率を上回ることとなった。
有識者に対しては1993年度以降に設問が用意されているが、今世紀に入ってからはほぼ9割を維持している。2015年度分はやや下がって83%と9割を割り込んだが、2016年度はやや持ち直しを示した。一般人については多少の上下を繰り返しながら1990年度代以降は上昇傾向にあり、2012年度においては2011年度から続く形で、それまでの最高値となる84%を記録した。一方それ以降は減少傾向にあり、2015年度でようやく底打ちし、2016年度では大きく上昇し、有識者に近づく形となった。そして直近年度となる2017年度では、はじめて一般人の値が有識者の値を上回る結果が出ている。
なお「信頼できる」と回答した人にその理由を複数回答で尋ねたのが次の結果。一般人と有識者とでは傾向が異なり、有識者の方が高い値=多方面の理由を挙げている。
一番の理由は「経済的な結びつき」。これは一般人も有識者も変わりが無い。一般人では次いで「世界経済の安定・発展に貢献している」が続いているが、有識者ではそれと合わせて同率で「友好関係、価値を共有する関係」が入っている。
差異はあるが一般人は有識者と比べて大きく差を開ける形で低い値を計上しており、一般人は「世界における日本の具体的な影響力は期待したほど高いものでは無い」との認識があるようにも見受けられる(公開資料の限りでは両者で質問の様式が異なるようには見えない)。
選択肢の中で一番低い回答値は、一般人は「魅力ある文化」、有識者は「安全保障への貢献」。それぞれの日本に期待している、注目している(そして失望している)観点の違いが表れているようで興味深い。特に有識者の「安全保障への貢献」は他項目と比べて一段と低い値に留まっており、日本へのさらなる安全保障への貢献を求める意思表示にも見えてくる次第ではある。
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※米国における対日世論調査
直近分は外務省がニールセン社に委託し、アメリカ合衆国内において電話により2018年3月に実施されたもので、有効回答数は一般人1057人(18歳以上)・有識者200人(政官財、学術、マスコミ、宗教、労働関係などで指導的立場にある人物)。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。
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