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主要車種別の自動車保有台数をさぐる(2018年8月発表版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 自動車には色々な車種があるが。(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

乗用車は漸減から横ばいに、軽自動車は増加中

移動の道具として広く普及している自動車。日本ではどのような種類の車両がどれほど浸透しているのか。国土交通省の自動車輸送統計年報(現状では2017年度分が最新値)から実情を確認する。今件は自家用だけでなく営業用も含めた値。また各年度に購入された需要台数では無いことに注意。

まずは単純に車種別の登録数を折れ線グラフ、そして年度毎の積み上げグラフ化を行う。

↑ 主要車種別自動車保有台数(万台)
↑ 主要車種別自動車保有台数(万台)
↑ 主要車種別自動車保有台数(万台)(2017年度)
↑ 主要車種別自動車保有台数(万台)(2017年度)
↑ 主要車種別自動車保有台数(万台)(積み上げグラフ)
↑ 主要車種別自動車保有台数(万台)(積み上げグラフ)

乗用車は1990年代中盤まで右肩上がりだったもののその後横ばい、2005年度前後以降は漸減傾向にある。もっともここ1、2年はゆるやかだが増加の兆しを見せている。一方で軽自動車は1980年度以降一貫して上昇を見せており、このままでいけばあと10年から20年で両者の保有台数上の立場は逆転する可能性が高い。トラック・トレーラーは漸減状態だったが、2013年度前後からはほぼ横ばいに推移。

そしてバイクや特殊車両まで全部まとめた登録車両数全体としては、2006年度をピークに減る気配を見せていた。ところが軽自動車の漸増が貢献する形で、2011年度以降は再び増加しつつある。またエコカー減税などの各種減税措置も大きく寄与しているものと考えられる。

↑ 主要車種別自動車保有台数(前年度比、万台)(2017年度)
↑ 主要車種別自動車保有台数(前年度比、万台)(2017年度)

2017年度では全車種で前年度比はプラス。特に軽自動車の増加が著しい。

「自動車といえば主に何?」は少しずつ変化を

次に示すのは把握されている主要車種全体に対する、個別車種比率の推移。

↑ 主要車種別自動車保有台数(全体比)
↑ 主要車種別自動車保有台数(全体比)
↑ 主要車種別自動車保有台数(全体比)(2017年度)
↑ 主要車種別自動車保有台数(全体比)(2017年度)

自家用自動車の普及に伴いトラック・トレーラーの比率は減り、乗用車は増えていく。軽自動車は1970年度台~1980年度台後半にかけて一度シェア上昇の動きを見せ、その後今世紀に入ってから再び上昇を開始している。昨今ではトラック・トレーラーと乗用車がともに減り、軽自動車が増加の一途をたどっている。直近の2017年度時点で乗用車は48.5%・軽自動車は39.7%。乗用車の50%割れは1974年度に47.4%をつけたのを最後にしばらく無かったが、2013年度に39年ぶりで割れ、今年度で5年連続のものとなる。

このように、世の中に出回っている自動車の種類別比率は大きな変化を見せつつある。ライフスタイルの変化(外出機会が減る、遠出をしない)の他に、人口がほぼ横ばいなのに対して世帯数が増加し、一世帯あたりの平均人数が減ることで、「自家用車も小型で十分」「移動手段は必要だがコストパフォーマンスを考えれば乗用車は手に余る」との需要の変化が、特に乗用車と軽自動車の間で見られる割合の変化をもたらしたと考えれば、十分納得もいく。法令や社会情勢の大きな変化が無い限り、この動きはしばらく継続するに違いない。

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(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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