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シートベルトの着用率、一般道路での後部座席は38.0%に留まる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 運転前には乗車している人全員がシートベルトの着用を。(写真:アフロ)

JAF(社団法人日本自動車連盟)と警察庁は2018年12月19日、自家用乗用車などの利用者を対象に同年10月に実施した「シートベルト着用状況全国調査」の結果を発表した。それによると一般道での運転者の着用率は前年比プラス0.2%ポイントの98.8%、高速道路などでは前年比プラス0.1%ポイントの99.6%と高い割合だったのに対し、後部座席はそれぞれ38.0%(プラス1.6%ポイント)・74.2%(マイナス0.2%ポイント)だったことが分かった。

↑ シートベルト着用率(走行道路種類別・着席場所別)(2018年)
↑ シートベルト着用率(走行道路種類別・着席場所別)(2018年)

シートベルトは正しく着用することで、「確実に」交通事故による犠牲者が減ることは数字の上でも証明済み。【警察庁の広報ページ「全ての座席でシートベルトを着用しましょう」】でも「シートベルト非着用時の致死率(死傷者数に占める死者数の割合)は、着用時の場合の約15.3倍」など、それを裏付ける値が示されている。関係者・団体による啓蒙活動などが功を奏し、少しずつ着用率は上昇しているが、いまだ100%には至っていない。

また2008年の改正道路交通法施行(後部座席も含めた全席シートベルト着用義務化)に伴い、後部座席においても着用率は2008年から急激な上昇を示している。それでも高速道路などで7割強・一般道路では4割近くと、前部座席と比べて着用率はまだ低く、さらなる啓蒙が必要とされる。

↑ 一般道路におけるシートベルト着用率(着席場所別)
↑ 一般道路におけるシートベルト着用率(着席場所別)
↑ 高速道路などにおけるシートベルト着用率推移(着席場所別)
↑ 高速道路などにおけるシートベルト着用率推移(着席場所別)

全般的に高速道路などにおける着用率の方が、一般道路と比べて高い。これは高速道路の方が運転速度が速く、その分事故の際のリスクが大きい(と認識されている)ため、運転者なども身構え、気をつける割合が高い結果によるもの。しかしながら一般道での走行速度でも、万一の際におけるシートベルトの着用の有無による「リスク」の差は極めて大きい。

「普通の道路の速度なら、シートベルトをしなくても問題無いだろう」「事故など滅多に起きない」「面倒くさい」「きゅうくつだから」「目的地まで数分で行けるから」「エアバッグがあるから」「注意しているから事故など起こすはずが無い」「後ろの座席は安全だから」との油断は禁物。ここ数年は後部座席でも着用率は少しずつ上昇しているものの、それでもまだ運転席における着用率と比べればはるかに低い。「自動車に乗ったらまずは全員がシートベルト」を習慣とするよう、運転手も同乗者も皆、心がけてほしい。

特に後部座席に座る子供は、シートベルトの着用を嫌がる傾向がある。その時にはまず運転席・助手席などの親が着用し、その姿を自慢しながら教え諭すことをお勧めする。子供は親の真似をするもの。親が積極的に、嬉しそうにシートベルトをすることで、子供も積極的につけるようになるに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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