2018年10月はマイナス33.2%…紙巻たばこ販売本数の実情をさぐる

↑ 自動販売機は紙巻たばこのメインとなる販売ルート(筆者撮影)。

日本たばこ協会が発表した資料によると、2018年10月の紙巻たばこの販売実績は81億本となり、前年同月比でマイナス33.2%を計上した。販売代金はマイナス28.2%の1894億円を示している。

↑ 紙巻たばこ月次販売実績(本数、億本)
↑ 紙巻たばこ月次販売実績(本数、億本)
↑ 紙巻たばこ月次販売実績(販売代金、億円)
↑ 紙巻たばこ月次販売実績(販売代金、億円)

たばこの税率引き上げに伴う大幅なたばこの販売価格の値上げは、グラフの対象期間中では2010年10月に開始されている。それに先立つ形で同年9月には安値で買えるうちにまとめ買いをする人たちによる「駆け込み特需(需要)」が発生した。そして同年10月以降は価格の上昇による喫煙者の減少(値上げに伴う喫煙者の禁煙者化)、喫煙継続者の利用本数の減少に加え、値上げ前の特需による大幅な需要のぶり返し(安値の時に購入したたばこを劣化する前に消費するために、新品は買いひかえられる)もあり、販売本数・金額ともに大きく減る状態がしばらく続いた。

さらに翌年2011年の3月には東日本大震災が発生。それ以降はその影響、具体的には生産・輸送ラインの機能停止・稼働率低下、原材料の調達困難による生産数・種類調整で、販売本数は大きく減少している。他方販売金額は先の値上げ分が販売本数の減退をカバーする形でプラスを維持。時間の経過とともに、震災の直接被害と影響による損失からはほぼ回復を果たしたものの、2010年の値上げ、そして中期的な健康志向の高まりに伴う禁煙・減煙促進によって、販売本数は漸減状態を続けている。

その後消費税率の引上げやたばこ税の軽減措置の縮小・廃止などを受けて逐次一部銘柄の値上げが行われており、そのたびに販売本数の減少が生じている。

2018年9月は実に30か月ぶりに前年同月比で販売本数がプラスを示した。これは2018年10月1日から主要銘柄が値上げされることに伴う駆け込み需要が発生した結果。当然直近月の2018年10月はその反動が生じており、グラフの対象期間では初めて月間販売本数として100億本を割り込む81億本を計上、前年同月比はマイナス33.2%と非常に大きな下げ幅を示した。

ちなみに今回月における本数の2年前同月比はマイナス42.6%、代金はマイナス38.0%。値上げと特需の反動があるとはいえ、2年間で4割前後の減少は大きな下落の動きに違いない。

一方で2017年に入ってから、とりわけ2017年後半期以降、売上が大きく落ち込んでいるのは、今件で取り上げている紙巻たばこから、電子たばこや加熱式たばこへと需要が急速にシフトしているためとの指摘もある。

↑ 紙巻たばこ月次販売実績(販売本数、前年同月比)
↑ 紙巻たばこ月次販売実績(販売本数、前年同月比)

日取りの上で前年同月と比較すると、日曜日・祝祭日数(土曜日は含まれない)は2018年では5日、2017年は6日。休みの日数は前年2017年より1日少ないため、配送日数は2017年と比べて1日多いことになる。よって日取りに関して数%のプラスの影響が生じているものと考えられる。その上でこの下げ幅なのだから、値上げの実影響は数字的にはもう少し大きなものだったことが推測される。

昨今では公的機関や飲食店を中心に、喫煙に関する各種制限がさらに厳しくなる動きを示している。これに伴いたばこの販売実績もまた、減少傾向に拍車がかかることだろう。

また、売上の減少が継続する中で、2018年10月からはたばこ税が今後1年につき1円、ただし2019年は消費税との絡みで無しとなり、2020年と2021年にも1円ずつ引き上げられることになり、これに併せて2018年10月からたばこ価格が大きく引き上げられた。2018年10月に実施された値上げに関するJTのリリースでは「今回の増税(1.0円/本)に際し、今後の原材料費をはじめとしたコストの上昇を踏まえ検討を重ねた結果、増税分以上の定価改定を行うことといたしました」との説明があるため、2020年と2021年にも再び、そしてあるいは2019年においてですら価格の引き上げが実施される可能性は否定できない。

今後も価格動向とともに、販売本数・販売代金の動きについて注意深く見守りたい。

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