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「YouTube動画を子守のツールとして」アメリカ合衆国では3割以上が「よくある」

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ タブレット型端末で動画を観させて子守ツールとして用いる。賢い方法ではあるが。(写真:アフロ)

絵本やビデオ、テレビを見せるように、YouTubeの動画を子供に観賞させて子守のツールとして用いることがある。身近にあるものを用いて子供の注意を引き付け、大人しくさせる方法としては賢い方法だが、アメリカ合衆国ではどれほど行われているのだろうか。同国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年11月に発表した調査「Many Turn to YouTube for Children's Content, News, How-To Lessons」(※)の報告書から確認する。

次に示すのは調査対象母集団のうち11歳以下の子供を持つ保護者において、子供にYouTubeを観させたままで放置することがあるか否かを尋ねた結果。保護者自身はYouTubeを利用しているか否かは尋ねていないが、実質的に利用していると考えて問題は無い。保護者が「子供がYouTubeを観たままで放置する」ことを自覚するためには、まず子供がYouTubeを観ていることを保護者が確認する必要があり、子供のみで勝手に観賞を始める状況は(環境の設定も併せ)考えにくいからだ。

↑ 子供にYouTubeを観させたままで放置することがあるか(アメリカ合衆国、11歳以下の子供を持つ保護者限定)(2018年5~6月)
↑ 子供にYouTubeを観させたままで放置することがあるか(アメリカ合衆国、11歳以下の子供を持つ保護者限定)(2018年5~6月)

全体では34%がよくある、時々あるが47%、合わせて8割以上は子供の子守ツールとしてYouTubeの動画を利用しているとの結果が出ている。していない保護者は19%でしかない。

例えば保護者が長編アニメの動画を再生させてそのまま放置するような、DVDプレイヤーの再生と同じ感覚で子供に観賞させることは十分考えられる。しかし操作を覚えた子供が再生終了後、さらには再生途中でおすすめ動画として画面上に表示される他の動画を選択したり、広告をクリックして他の動画へ再生移行をしてしまう可能性はある。また、該当動画の再生が終わり、自動的に「類似の他の動画」として選択された動画が再生されてしまうこともあるだろう。

子守のツール的にYouTubeを観させて放置していたら、子供がふさわしくない動画を観てしまった(のを保護者が確認できた)という人はどれほどいるだろうか。なお設問票ではふさわしくない動画の説明として単に「unsuitable for children(子供にとって不適切)」とのみあり、具体的な内容は示されていない。単に回答者=保護者がそのように判断できる動画を意味する。

↑ 子供達がふさわしくない内容の動画を観てしまったことがあるか(アメリカ合衆国、11歳以下の子供を持つ保護者のうち子供にYouTubeを観させたままで放置することがある人限定)(2018年5~6月)
↑ 子供達がふさわしくない内容の動画を観てしまったことがあるか(アメリカ合衆国、11歳以下の子供を持つ保護者のうち子供にYouTubeを観させたままで放置することがある人限定)(2018年5~6月)

具体的内容や頻度までは問われていないが、6割強もの保護者が、子供がふさわしくない内容の動画を観てしまったと回答している。ただしYouTubeでは子供の保護者向け機能として、多様な使用制限機能を用意しており、その機能を保護者が使っているか否かまでは今件では問われていないことに注意が必要。機能を使っている保護者に限定すれば、この回答値はずいぶんと下がるはずだ。

とはいえ、実情として子守ツールとしてYouTubeを使っている保護者の6割強が、ふさわしくない動画を子供の目に触れさせてしまったとの認識をしているのは事実。ゲーム機などで子供が保護者の目の届かない場所で自由にYouTubeが観賞できるようになれば、保護者の心配はさらにつのることだろう。

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※Many Turn to YouTube for Children's Content, News, How-To Lessons

Pew Research Centerの調査パネルATP(American Trends Panel)によって行われたもので、調査実施期間は2018年5月29日から6月11日。有効回答数は4594人。ATPはRDDで抽出された固定電話と携帯電話番号への通話で18歳以上のアメリカ合衆国居住者に対して応募が行われたもので、国勢調査の結果でウェイトバックが実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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