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高校2年生は深夜ゼロ時に就寝…子供の起きる時間と寝る時間の実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 早寝早起きは健康に欠かせないとはいうけれど。(ペイレスイメージズ/アフロ)

起床時間は成長とともに二極化

子供の就寝・起床時間は他世帯事情を知る機会は滅多に無く、自分の子供の実情が平均的なものなのか、気になる保護者も多い。今回は国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)の報告書を基に、子供の起床・睡眠事情を確認する。

次に示すのは直近2016年度における、子供達の普段(平日、月曜から金曜)に起きる時間。青系統色ほど早く、赤系統色ほど遅い時間帯に起床していることを意味する。

↑ 普段の起きる時間(平日)(2016年度)
↑ 普段の起きる時間(平日)(2016年度)

小学生はおおよそ午前7時までには起床している。しかし学年が上になるに連れて少しずつ午前7時以降に起きる子供の割合が増え、中学生になると午前7時半以降に起きる子供が増える。一方で午前6時より前に起きる子供の割合も大きく増えるが、これはいわゆる「朝練」など朝の部活動で早く起床する必要のある子供が増えていることが考えられる。あるいは「朝活」と呼ばれている、朝早く起きて勉強する人もいるかもしれない。高校生になると、午前6時前に起きる人は17.8%。一方で午前7時以降に起きる人も約3割にまで増加する。

個々の回答区分の中央値を用い、それぞれの学年における平均起床時間を算出したが、一見すると奇妙なことに、午前6時24分から午前6時38分の間に集約する結果が出てしまった(グラフ化は略する)。改めて上のグラフを見直すと、学年が上がるに連れて起床時間が二極化しているのが分かる。つまり早起きする子供が増える一方で、遅く起きる子供も増えるため、個々の学年における平均起床時間はあまり変化しない結果が出てしまった次第である。

高学年ほど夜更かしな実態

就寝時間は明確に高学年ほど遅く床に就く状況が確認できる。起床時間のような二極化は見られない。

↑ 普段の寝る時間(平日)(2016年度)
↑ 普段の寝る時間(平日)(2016年度)

小学1年生の時点では9割近くが午後9時台までには床に就いている。これが小学6年生になると4割強にまで減り、4割強が午後10時台の就寝となる。中にはすでに午後11時以降に寝る人もいる。

中学生では午後11時以降に寝る人が過半数となり、日付が変わってから寝る人も3割近くとなる。高校生になると午後11時より前に寝る人は1割強となり、午前ゼロ時以降に寝る人が過半数となる。午前1時以降に寝る人も15.8%もいる。

この就寝状況に関して、各回答項目の中央値を元に、概算の平均就寝時間を算出したのが次のグラフ。

↑ 普段の寝る時間(平日、概算)(2016年度)
↑ 普段の寝る時間(平日、概算)(2016年度)

小学1年生は午後9時前には就寝。これが小学6年生になると午後9時半ぐらいとなり、中学生では午後11時半近く、高校生になると深夜ゼロ時まで夜更かしをすることになる。

帰宅時間が遅くなる、しなければならないこと・したいことが増えるため、就寝時間が遅くなるのは仕方がないが、一方で起床時間はさほどずらせないことから、必然的に睡眠時間は減少する。昨今ではスマートフォンなどによるインターネットへのアクセスに夢中になることで、過度の夜更かしによる睡眠不足が問題視されていることを思い返すと、次回調査以降の動向が大いに気になるところではある。

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※青少年の体験活動等に関する実態調査

直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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