日本や諸外国のソーシャルメディア利用実情をさぐる
・日本で一番使われているソーシャルメディアはLINE。48.7%の利用率(2018年)。
・日本のソーシャルメディアの利用スタイルは「閲覧のみ」が多い。
・アメリカ合衆国、ドイツ、イギリスではソーシャルメディアの利用者は、その多くが書き込みもしている。
日本のソーシャルメディア利用実情
今や多くの人には欠かせない存在のソーシャルメディア。日本、そして主要な他国における利用実情を、総務省が2018年7月に発表した「情報通信白書」内で公開している独自調査「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(※)の結果から確認する。
まず最初に示すのは、日本に限定したソーシャルメディアの利用実情。主要なソーシャルメディアを挙げ、それぞれにどのような利用スタイルをしているか、具体的には「自ら情報発信や発言を積極的に行っている」「自ら情報発信や発言することよりも他人の書き込みや発言などを閲覧することの方が多い」「ほとんど情報発信や発言せず、他人の書き込みや発言などの閲覧しか行わない」「ほとんど利用していない」「まったく利用していない」の選択肢から一つを選んでもらい、そのうち「ほとんど利用していない」「まったく利用していない」以外の回答率、つまり回答者自身がそれなりに利用していると認識した割合。
挙げられたソーシャルメディアの中で一番利用率が高いのはLINEで48.7%。次いで情報・レビュー共有サイト(価格.comや食べログなど)の38.4%、Twitterの33.2%が続く。
続いてこれを具体的な利用実情で細分化したのが次のグラフ。
LINEは実質的にチャットシステムであることから、情報発信を積極的にしている人が多く17.0%、閲覧が多いが発信もしている人は15.4%。他方、情報・レビュー共有サイトではそれぞれ2.0%・6.6%しかおらず、利用者の大半は閲覧のみの利用であることが分かる。Twitterでは7.7%・8.8%で合わせて16.5%の人が書き込み派。
その他のソーシャルメディアも薄緑の領域が多く、閲覧のみの利用が多数を占めていることが分かる。特に掲示板のようなスタイルのサービスでは、その傾向が強いようだ。mixiなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)では利用者に占める書き込み派の割合がやや多いが、誤差の範囲だろう。
諸国の利用実情を日本と比べてみる
続いて日本以外の国、アメリカ合衆国、ドイツ、イギリスの利用実情。すべてのソーシャルメディアを精査していたのでは雑多となるので、今回はFacebook、Twitter、LINEに絞ることにする。なお日本の値が上記と異なるのは、日本のみの調査では79歳までを対象としているのに対し、国際比較の際には他国と合わせるために69歳までの値を計上しているからに他ならない。
まずはFacebook。
今回挙げた国の中では日本の利用率が一段と低いことが分かる。アメリカ合衆国では積極的な情報発信者だけで5割近く、閲覧の方が多いが発信も行う人まで合わせると7割強が書き込み派。イギリスも6割強が書き込み派で、能動的利用スタイルが見て取れる。ドイツはやや低めだが、それでも5割近く。日本の1割強とは大きな違い。白書でもこの点について他のソーシャルメディアの利用傾向と併せ「利用者が日本と比較して多く、さらに頻繁に書き込みをしている割合が高いことが読み取れる」「積極的に情報発信をするために利用している割合が日本と比較して高い」などと言及している。情報に対する姿勢の違いがソーシャルメディアの利用実情にも表れているのかもしれない。
次いでTwitter。
「Twitterは他国より日本での利用率が高い」という話はよく見聞きするが、少なくとも今調査に限ればアメリカ合衆国やイギリスの方が利用率は高く、書き込み派の率も高い。日本では2割近くたが、アメリカ合衆国・イギリス双方とも3割強。ドイツでは書き込み派が日本と同程度なものの、閲覧のみ派の率が低く、利用率そのものが抑えられる結果となっている。
最後はLINE。
LINEは日本での利用率が群を抜いており、他国に倍する利用率を計上している。利用者に占める書き込み派の割合も日本は他国と変わらず、他のソーシャルメディアで見られた「日本は閲覧のみ派の割合が多い」という傾向も見出し難い。色々な意味で特異なソーシャルメディアではある。
他国と比較しても日本はやはり情報に対して発信よりも閲覧、能動的利用よりも受動的利用を好む傾向があるようだ。民族性によるものか、歴史的な背景によるものかは不明だが、興味深い傾向には違いない。
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※ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究
日本・アメリカ合衆国・イギリス・ドイツにおいて2018年2月から3月にかけてインターネット経由で20~69歳(日本のみ20~79歳)の男女に対し行われたもので、有効回答数は日本で1200人、それ以外の国でそれぞれ1000人。10歳区切りの年齢階層と男女別で均等割り当て。
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