LINE、Facebook、Twitter…主要ソーシャルメディアなどの利用状況をさぐる
ウェブサービスの中では今一番利用され注目を集めているのがソーシャルメディア。その利用実情、浸透状況を、総務省が2017年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から確認する。
今回利用実情の目安として利用率を確認するのは主要ソーシャルメディア、具体的にはLINE、Google+、Facebook、Twitter、mixi、Mobage、GREEの計7サービス。加えて動画系のソーシャルメディアであるYouTube、ニコニコ動画、Vine、Instagram。LINEは厳密にはソーシャルメディアでは無くコミュニケーションサービスだが、今調査ではソーシャルメディアとして取り扱われている。
具体的サービス毎の利用状況は次の通り。若年層の利用率が圧倒的に高く、これが後押しする形でLINEが一般的なソーシャルメディアでは最上位につくこととなった。
次いで多いのはFacebook、Twitter、Google+と海外発のソーシャルメディアが続く。かつて日本で一世を風靡したmixiだが、今調査の限りでは6.8%のみの利用率に収まっている。LINEは厳密にはソーシャルメディアと似て非なるものなので、実質的には「国内利用率ナンバーワンのソーシャルメディアはFacebook」となる。
他方、動画系のソーシャルメディアまで精査に含めれば、LINEすら凌駕しているのがYouTube。全体の7割近くが利用している。LINEが比較的若年層で利用が集中しているのに対し、YouTubeは幅広い年齢階層で使われているのが、全体の利用率を押し上げた原因である。
これを年齢階層別に見たのが次のグラフ。各層間の特性が表れており、興味深い結果が出ている。
LINEが50代まで過半数、特に20代から30代では9割超の値を計上している実態の圧倒感が確認できる。60代ですら1/4近くがLINEを活用中。これらの値はインターネット利用者、携帯電話利用者限定では無く、該当する属性全体比であることに注意が必要である。40代の人4人を集めれば、そのうち3人はLINEを利用している計算となる。
10代・20代では意外にもTwitterがLINEに続き、30代以降ではFacebookが続いている。かつて実名・実肖像主義のFacebookは日本では浸透しないのではないかとの話もあったが、この値を見る限りそれは単なる杞憂だったようだ。20代から30代では過半数の人がFacebookを利用していると答えている。
LINE、Facebookは20代、Twitterは10代が利用のピークで、それ以降利用率は減少していく。60代ではLINEが2割強を示しているものの、それ以外ではFacbookが1割程度でしかない。利用端末そのものの普及率の低さも一因だが、先行する記事にある通りシニア層ではデジタルにおけるコミュニケーションは電子メールが主流であり、ソーシャルメディアにはまだ手が及ばない。あるいは必要性を感じないのかもしれない。何しろコミュニケーションメディアは、自分だけでなく意思疎通をしたい相手も登録していないと、利用ができないのだから。それゆえにLINEの高い値は特異的。利用ハードルの低さが利用率の底上げに貢献しているのだろう。
なおGoogle+は年齢階層を問わず2割強、30代では4割近い値を計上している。報告書では特段解説は無いが、そして調査票では選択肢の表記に「※Googleでの検索やGmailとは別のサービス」との補足があるものの、なお「検索エンジンとしてのGoogleの利用」と勘違いをしている人が少なからずいるものと考えられる。
他方、動画・写真系ソーシャルメディアになると、YouTubeの幅広い年齢階層における利用状況が見て取れる。40代までは3/4超、50代でも過半数、60代でも3割近くが利用している。豊富なコンテンツの実装に加え利用ハードルが低く、ブロードバンドでインターネットにアクセス可能な環境であれば、会員登録の必要すら無くほぼ利用できるのが強みではある。
短時間の一発芸的な動画がメインのVineは20代の利用がメインで、30代以降は誤差範囲内。ニコニコ動画は10代から20代の利用が多いが、30代でも2割近く、60代でも7%近くの利用状況が確認できる。オシャレ感の強い画像共有サービスInstagramは20代が利用のピークで4割強、10代や30代も2割前後の利用率を示し、若年層に強いサービスの実情が把握できる。
なおVineは2017年1月17日付で正式サービスを終了し、現在では動画の投稿はできなくなっている。それ以前に投稿された動画の閲覧は可能で、その後はVine Cameraで作成した6.5秒のループ動画をTwitterにて投稿可能となり、実質的にTwitter用の動画アプリとなっている。次年分の調査にVineが選択肢として登場するか否かは現時点では不明だが、正式サービスとして運用されていない以上、難しいところだろう。
今件調査結果からはLINEの浸透の実情やFacebookの健闘、Twitterの若年層への普及(最利用率は10代!)など、興味深い動きを多々見受けることができる。来年はさらにこれらの動きが進み、日本国内におけるソーシャルメディアの勢力図も随分と変化した状況となるだろう。
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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。