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コンビニでは1日に何箱たばこが売れているのかをさぐる(上)…概算編

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ たばこは今でもコンビニの主要販売品。どれほど売れているのか(筆者撮影)。

・ローソンの全売上のうちたばこは25.2%(2018年)。

・平均日販とたばこの平均価格を設定することで店舗での1日あたりのたばこ販売個数が試算できる。2018年では約300個(ローソンの場合)。

・1店舗あたりのたばこ販売個数も、たばこ購入起因での来場客数も大よそ減少中。

全売上に占めるたばこの割合は25.2%

最近は値上げや健康志向の影響で勢いは落ちているものの、たばこがコンビニにおける主要商品の一つには違いない。では実際に店舗あたりでどれほど売れているのだろうか。大手コンビニの一つであるローソンの統合報告書による公開値から検証する。

ローソンの統合報告書の最新版ではたばこの売上比率に関して「たばこの販売構成比は25.2%」と明記されている。この売上額は4986億円。

↑ 商品群別売上高構成比率(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)
↑ 商品群別売上高構成比率(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)
↑ 商品群別売上高(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)(億円)
↑ 商品群別売上高(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)(億円)

少なくとも年ベースでは売上をかさ上げし、その伸び率は他商品区分と比べて高い領域で推移。結果として全売上に占めるシェアは伸びつつあった。

ただし2013年(ローソンでは2月末締めのため、今件グラフにおける各年は、その年の2月末までの値。マイナス1年の年度の値でもある。例えば2013年なら2012年3月から2013年2月までの2012年度)以降になると、各年の報告書では「たばこのセールスが減少している」などの表記が見られ、たばこの販売「数」の減少が生じていることが確認できる(2013年から2014年にかけての減少はグラフ注記にもある通り取得値対象の変更によるもの)。

2017年以降は再びわずかながら増加を示しているが、これは加熱式たばこの盛況ぶりによるところが大きい。統合報告書でも「加熱式たばこ関連の売上が増加したことなどにより、前期の売上を上回りました」との言及が確認できる。また、店舗数が増加していることも小さからぬ要因だろう。

1日1店舗でどれほどたばこが売れているのか

「たばこの売上は全体の25.2%」。この値が判明していれば、あとは1店舗あたりの1日平均売上を確認できれば、平均的な店舗における「たばこの日次販売額(平均日販)」が計算できる。そしてたばこの平均単価は約450円なので(2018年2月末時点では主要銘柄のセブンスターが460円、メビウス(旧マイルドセブン)が440円。間を採ると450円)、その金額で割り算をすれば「どれだけの個数が」売れたのかも(概算ではあるが)把握できる。

「平均日販」こと1日の店舗単位での平均売上は、統合報告書ではなく決算短信の補足資料中に表記を見つけることができる。それによると2017年度(上記グラフでは2018年に該当)は全店で53万6000円(「売上および商品の状況(国内コンビニエンスストア)」の「平均日販」から取得)。ちなみに既存店だが客数は804人/日、客単価は616円/人。

よって、1店舗あたりの1日のたばこ販売額と箱数は、

・53万6000円×25.2%=13万5072円(/日)

・13万5072円÷450円=300.16箱(/日)

となり、1日に約300箱のたばこが売れている計算になる。

仮に販売箱数の約半分がカートン買いで、残りの半分はすべて1人が2箱の形で買われたとすると、(150÷10)+(150÷2)=90.05人となり、コンビニ(今件ではローソンだが)の1日の来場客数804人のうち1割強ほどが、たばこ購入による来店となる。売上だけでなく、来店機会の観点でも「たばこ」がコンビニを支えている実態が認識できる値である。

ここ数年の試算結果を確認すると次の通りとなるが、たばこ値上げの影響が出る以前から、たばこの販売における勢いが衰えているのが確認できる(2014年分から計算の上での指標が単体のものとなったため、グラフの上でイレギュラーが生じている)。

↑ コンビニでのたばこ販売動向(ローソン)
↑ コンビニでのたばこ販売動向(ローソン)

直近年でやや持ち直しの動きが生じているのは、統合報告書でも言及されている通り、加熱式たばこの盛況ぶりが影響しているのだろう。

今年の10月には主要銘柄の値上げが決まっており、今後も数年かけて随時値上げが予定されている。売上・購入者のさらなる減少は容易に想像できる。コンビニ各社がプライベートブランドのスイーツや惣菜、ドリップコーヒー、ドーナツなど、汎用的で来店機会を生み出しやすい商品開発に注力しているのも、十分理解できる次第である。

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(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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