中米独日の順…各国再生可能エネルギーの発電量動向をさぐる
・再生可能エネルギーの発電所による電力消費量トップは中国。次いでアメリカ合衆国(2017年)。
・再生可能エネルギーの発電所による電力消費量は2017年の上位国ではいずれも増加傾向にあるが、特にアメリカ合衆国や中国、ドイツで上昇度合いが大きい。
・世界全体規模で主要エネルギー源による消費量を見ると、再生可能エネルギーはごくわずかにすぎない。
直近では中国がトップ、アメリカ合衆国が続く
昨今注目を集め、同時に問題も指摘されるようになった、太陽光発電などの再生可能エネルギー(自然エネルギー)。発電量の実情はどのような状況なのか、世界における実情を、国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー白書「Statistical Review of World Energy」から確認する。
今資料では最新の2017年分だけで無く1965年以降における、各再生可能エネルギー発電所による発電・消費量推移(電力は基本的に蓄電は不可能なため、発電量=消費量となる)を、エネルギーとしての石油換算で算出し、計上している。今回は最新の公開内容において計上値(石油換算100万トンを1.0とする)が1.0以上のものについて精査の対象とする。なお「再生可能エネルギー」とは風力発電、地熱発電、太陽光発電、バイオマス発電、廃棄物発電などを指す。水力発電は別途単独で計上されており、今件には含まれていない。
さてまずは、最新データの2017年における上位国のグラフを形成する。エネルギー関連では常に上位についている中国がトップ、そしてアメリカ合衆国が続く。
中国の106.7(×100万トン石油換算)は、同国の原発発電量56.2をはるかに凌駕する。内訳としては風力発電の割合が大きく、約6割を占める(64.7×100万トン石油換算)。同国ではそれ以外のエネルギー生成量も急増しており、2017年ではアメリカ合衆国を抜き、はじめて世界でトップの量を計上した。
続いてアメリカ合衆国。2016年までは中国より量は多く世界最大値を示していたが、2017年では中国に抜かれる形となった。同国でも内訳としては風力発電の割合がもっとも多く、約6割(58.1×100万トン石油換算)。
第3位はドイツ。そして日本、ブラジルが続く。ドイツが上位についているのは、太陽光発電の国策的な電力買取によるところが大きい。もっともこの国策も、国家財政と健全なエネルギーバランスの維持の上ではプラスをもたらさないとの認識が強まり(例えば「国の買い取り制度」も結局は国民の負担が増えるだけ)、大幅な軌道修正を行っているため、今後もこの順位を維持できるかは不確か。
日本は再生可能エネルギーによる電力発電・消費国としては、世界で第4位の立ち位置。内訳としては太陽光発電が最多で約6割を占める(14.1×100万トン石油換算)。
経年変化で動向を確認
これを2017年の上位国から抽出する形で、2001年からの(つまり今世紀の)推移を眺めたのが次のグラフ。
アメリカ合衆国では国策としてエネルギー創出に対する関心が高く、各方面の再生可能エネルギーに対する研究も盛んに行われている(昨今のシェールガス・オイルの開発もよい例)。絶対量はともかく、この成長ぶりが、同国のエネルギーに対する熱意を表している。
他方ドイツの伸びは直上で示したように、主に太陽光発電エネルギーの固定買取制度によるもの。しかし加速する財政的負担に、技術進歩によるコストダウン・安定性の増大が追い付かず、国の財務状態を悪化させることとなり、制度そのものが行き詰っている。今後において、これまでの伸び率が維持できる可能性はさほど高くは無い。
インドや中国も、ここ数年間で高い伸び率を示している。特に中国は大きな上昇カーブを描いており、2012年にはドイツを抜いて世界第2位に、そして2017年ではついにアメリカ合衆国を抜いてトップとなった。これは両国の経済発展に伴い、エネルギーの必要性が急増したことによるもの。再生可能エネルギーに限らず、他のこれまでの記事にある通り、他の主要エネルギーもまた、続々と生産・消費量を積み増している。
余談ではあるが、これらの再生可能エネルギーは全体のエネルギー消費量のどれほどに該当するのかを把握するため、他の主要エネルギー源と並べたのが次のグラフ。
再生可能エネルギーは成長こそ続けているものの、安定性の問題も鑑みると、既存エネルギー源の代替的存在となるのには、現状の量では不足しているのが実情ではある。
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