・悪性新生物(がん)による治療などで死亡事例が減り、平均寿命は大きく延びた(2017年)。

・男女ともに老衰、男性は糖尿病で平均寿命は縮んでいる。

・2011年には震災により男性は0.26年、女性は0.34年平均寿命が縮んでいる。

厚生労働省から2018年7月に発表された2017年分の簡易生命表には、主要な死因が寿命に与えた影響を示す「平均寿命の前年との差に対する死因別寄与年数」も掲載されている。この内容を確認する。

まず「死因別寄与年数」だが、これは「該当死因を除去した場合、平均余命がどれだけ伸びるか」を意味する。ゼロ歳を対象とした場合は、そのまま平均寿命の伸びとなる。例えば2017年における男性・ゼロ歳における、死因としての悪性新生物を除去した場合、平均余命(寿命)は3.62年伸びるとある。

そして今回提示する値・グラフは、その「死因別寄与年数」の2017年における前年比。直上でも2011年には東日本大地震・震災が発生し、その影響が大きく2011年・2012年分のデータには生じていたが、それも2013年にはほぼ消えており、日本の寿命・死因状況は震災以前の状態に戻りつつある。それが別の切り口から分かるのが、次に示す図。

参考までに震災の影響を確認できる2012年分も併せて掲載する(本当は震災当年である2011年のものが一番よいのだが、当年の簡易生命表では数字による死因別寄与年数の全体的な前年比の公開は行われていない。なお2011年における地震を起因とした平均寿命の寄与年数は、男性でマイナス0.26年、女性で0.34年となっている)。なお両グラフでは縦軸の仕切り分けが異なる点に注意してほしい。

↑ 平均寿命の前年との差に対する死因別寄与年数(男女別、年)(2017年)
↑ 平均寿命の前年との差に対する死因別寄与年数(男女別、年)(2017年)
↑ 平均寿命の前年との差に対する死因別寄与年数(男女別、年)(2012年)
↑ 平均寿命の前年との差に対する死因別寄与年数(男女別、年)(2012年)

グラフ項目中「交通事故」「熱中症」「地震」は「不慮の事故」に内包されているものを別途抽出して再集計した結果。そして「悪性新生物・心疾患・脳血管疾患」(いわゆる三大成人病)は個々の項目をすべて同時に除去したものである。また2017年のデータでは2012年と比べて「地震」「熱中症」項目などが削除され、「大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)および解離」(大動脈が大きく膨らんだ状態になるのが大動脈瘤、大動脈の血管の内壁に亀裂が入って剥離状態となるのが大動脈解離)が入っている。

この項目の変化は、2017年では地震による平均寿命への影響は、ほとんどゼロと認識してよいほどの状態になったことを意味する。2012年では寄与年数が、大きくプラスに振れていた状況からは大きな変化である(2012年が前年比で大きくプラスに振れたのは、その前年にあたる2011年で地震による不慮の事故者が多発し、結果として平均寿命を押し下げた反動によるもの)。また2012年、さらには今回掲載はしていないものの2013年時点では「熱中症」の項目が存在していたが、2014年以降は消えており、少なくとも2014年以降においては熱中症による死亡者が、平均寿命に影響を及ぼすほどの数は発生しなかったことが分かる。

具体的項目では「糖尿病」「老衰」が有意値としてのマイナス値を示している。これは2016年と比べて「糖尿病」「老衰」を死因とする人が増えていることを意味する。また三大成人病による平均寿命はプラス(つまり平均寿命を延ばす)方向にあり、状況は改善に進んでいることも確認できる。さらに三大成人病以外では「悪性新生物(がん)」「心疾患」「脳血管疾患」でも大きな改善が生じていることが分かる。

資料では小数第二位までの有意値が数字として記されているが、それ以下のマイナス値を示している印として、男性は「大動脈瘤および解離」、女性は「大動脈瘤及び解離」「不慮の事故」が確認できる(グラフでは表記上「±0.00」となっている)。ほんのわずかではあるが、これらの項目で寿命を縮める、状況が悪化する動きが見られたことになる。数字の上ではわずかには違いないものの、色々と気になる動きではある。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。