冷戦終結間際以降の主要国軍事費の動向を自国通貨による上昇度合いでさぐる(2024年公開版)
米ソ冷戦時代が終わるとともに国家間の軍事関係も大きな変化を見せ、軍事費も変容を示している。その実情を国際的な軍事研究機関であるストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute、SIPRI)の調査公開値を基に、それぞれの自国通貨の額面における上昇度合いから確認する。
直近2023年において軍事関連支出が米ドル換算でもっとも大きかった国はアメリカ合衆国、次いで中国、ロシアが続いている。
個々の国の軍事装備はその多くが自国調達のため(一部には他国からの調達が多数におよぶ国もある)、米ドル換算では軍の実情は推し量りにくいとの意見もある。そこで2023年における米ドル換算上の上位10国を対象に、その年以降で連続的な額面が取得可能な最古の年となる1993年分の値を基準値とし、その基準値の何倍に当たるかを算出し、その動向を見ていくことにしたのが次のグラフ。
戦争当事国という特殊事情を持つウクライナの値が突出したものとなり、それ以外の国はほぼ底面にへばりついたグラフができあがってしまった。これでは少々問題がある。そこで戦争当事国のロシアとウクライナをのぞいて再構築したのが次のグラフ。
やはり中国、そしてインドの伸び率が著しい。またサウジアラビアも大きな上昇率を見せていたのが分かる。それ以外の国は自国通貨の額面上でも、さほど大きな変化は示していないことも確認できる。
シンプルに差が分かるよう、基準値の1993年と直近の2023年を比較し変動倍率を算出したのが次のグラフ。やはりウクライナ、そしてロシアが特異値を出してしまうため、ロシアをのぞいたグラフも併記しておく。
国内通貨上の額面でも中国とインドが大きく増加している状況が改めて確認できる。もちろん30年の間にはそれぞれの国でインフレも進行しているため、いくぶん差し引きをする必要はあるが、軍事費上位国のうち少なくともこれらの国が大きく軍事費を上乗せしていることが改めて理解できよう。
そして何より、現在も戦争当事国のポジションにあるロシアとウクライナが、軍事費を大きく上乗せしていることは言うまでもない。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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