Yahoo!ニュース

平均寿命の国際比較をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 国により平均寿命は異なる。もっとも長生きな国は。(写真:アフロ)

・もっとも平均寿命が長い国は男性では香港で81.70年。次いでスイスの81.50年(2017年)。

・女性では香港がもっとも長く87.66年、次いで日本の87.26年。

・平均寿命は大よそ男性より女性の方が長い。

厚生労働省から2018年7月に発表された2017年分の簡易生命表には、厚生労働省が把握している限りにおける、最新の主要国における平均寿命の一覧も掲載されている。その内容から、主要国の平均寿命の実情を確認する。

次に示すのは男女それぞれの平均寿命上位国15位までをグラフ化したもの。なお簡易生命表の資料でも言及されているが、「平均寿命の諸外国との比較は、国により作成基礎期間や作成方法が異なるため、厳密な比較は困難」であるため、あくまでも参考値レベルのものと認識してほしい。

↑ 平均寿命の国際比較(男性、2017年簡易生命表から、上位国、年)
↑ 平均寿命の国際比較(男性、2017年簡易生命表から、上位国、年)
↑ 平均寿命の国際比較(女性、2017年簡易生命表から、上位国、年)
↑ 平均寿命の国際比較(女性、2017年簡易生命表から、上位国、年)

グラフの形状は男女とも似たようなものだが、縦軸の最下層が男性は78.5年・女性は81.0年となっていることからも分かるように、大よそ女性の方が寿命は長い。

日本は男性では世界基準で見ると香港、スイスに続き、第3番目となる。女性もやはり香港に抜かれ世界第2位の座に。もっとも香港は現在中華人民共和国の特別行政区として存在しているため、個別の国として他と比較するのは無理があるとの解釈もできる。

グラフでは下限が調整してあるために大きな差異が出ているように見えるが、男性は上位15位の差異が1.90年、女性は3.87年に留まっている。大よそ上位国、特に男性は誤差範囲の中で順位争いをしているとの認識で間違いあるまい。

今件の値はあくまでも平均寿命を公開している国に限られ、しかも厚生労働省が現時点で把握している最新値における比較となる。また、社会情勢の変化で容易に順位変動が起きうることは言うまでも無い(震災時の日本がよい例。簡易生命表によると、2011年の震災で男性は0.26年、女性は0.34年平均寿命が縮まっている)。さらに今数字は「該当年に生まれた子供が社会情勢などの環境変化が無い限り、平均で何年生きられるか」を示したものであり、現時点で該当する年齢の人が「平均的な寿命ならばもう死亡する」ことを意味してはいない。

今後も平均寿命は漸次伸びていくだろうが、その際に国別の変化がどのように生じるのか、気になるところだ。

■関連記事:

何歳から高齢者? 中堅層以上は「70歳ぐらい」

寿命を77年のばす15のコツ

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事