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趣味の費用・飲み代・雑誌や書籍代が前年比で大きくマイナス…サラリーマンのこづかい内部事情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
何度計算してもお金が増えるわけでは無く。おこづかいのやりくりは大変。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・サラリーマンのこづかいの使い道としてもっとも欠かせないものと認識されている対象は昼食代。43.2%が同意している(2018年)。

・サラリーマンのこづかいの使い道におけるここ数年の動向としては、「趣味の費用」「雑誌・書籍代」「車関係・ガソリン代」の回答率が低下傾向にあり、他方で増加の動きを見せる項目が無い。

・年齢階層別で見ると「昼食代」は40代でやや低め。既婚者における持参弁当比率が高いのが一因と考えられる。

こづかいの使い道で一番欠かせないものは昼食代

サラリーマンが直接、そして自分自身にもっとも大きな影響を与える金銭のやり取りといえば「こづかい」。そのこづかいの使い道として一番欠かせないものは「昼食代」であるとの実態が、新生銀行が2018年6月に発表した、定点観測的な調査「サラリーマンのお小遣い調査」(※)の最新版で明らかになった。今回はこの調査結果から、最重要視されている昼食代も含め、サラリーマンのこづかいの消費実態について確認をする。

サラリーマン諸氏におけるこづかいの使い道として、欠かせない項目を複数回答で尋ねたところ、もっとも多くの回答が得られたのは「昼食代」だった。回答率は43.2%。

↑ サラリーマンのこづかいの使い道として欠かせないもの(上位一部のみ)
↑ サラリーマンのこづかいの使い道として欠かせないもの(上位一部のみ)
↑ サラリーマンのこづかいの使い道として欠かせないもの(2017年から2018年への変移、ppt)
↑ サラリーマンのこづかいの使い道として欠かせないもの(2017年から2018年への変移、ppt)

もちろん「欠かせない」を選ばなかった場合、それは「無くてもよい」を意味しない。「優先順位が低くてもかまわない」(1かゼロではなく、金額配分の際の割当が低くなる)と見れば、「こづかいの使い道として昼食代が欠かせない」と”回答しなかった”56.8%の存在も納得できる。持参弁当を利用する人もこの56.8%には多分に含まれるのだろう(今件調査におけるこづかいには昼食代を含んでいる)。あるいは文字通り「昼飯を後回しにしても、抜きにするなり減額しても、こづかいを投じたい対象がある」人もいるかもしれない。

「昼食代」以外の項目では「こづかい」の内容にふさわしく、プライベートな項目が上位を占めている。具体的には「携帯電話代」「し好品代」「飲み代」「趣味の費用」が続いている。他方、数年前には上位についていた「家族への気配り」の項目が、今年も合わせて6年連続で上位10位から消えている(公開されているのは毎年上位10位項目まで)。厳しいこづかい事情の中で、家族よりもサラリーマン本人への注力に重点を置いたものと考えられる。

また前年からの変化を見ると、上位陣ではすべてが下落。特に「趣味の費用」「雑誌・書籍代」「飲み代」「昼食代」が8%以上を計上している。この現象についてリリースでは「大幅に下がっている点が特徴です」のみ言及しており、具体的な分析は無し。2018年ではこづかい額そのものは前年比で増加していることに加え、サラリーマンのこづかいの使い道として欠かせないものでの減少動向が特定項目でのものでは無いことから、お財布事情が厳しくなったので切り詰める姿勢が強化されたと考えるよりは、取捨選択を強く考える必要が減ったと考えた方が妥当かもしれない。

ここ数年の動向を見るに、「趣味の費用」「雑誌・書籍代」「車関係・ガソリン代」が低下傾向にあり、他方で増加の動きを見せる項目が無い。

↑ こづかいの使い道として欠かせないもの(上位5位+αのみ)(2005年~)
↑ こづかいの使い道として欠かせないもの(上位5位+αのみ)(2005年~)

「昼食代」はやや横ばいだったが直近年では大きく下げてしまっている。「欠かせないもの」の認識そのものが変化しているのかもしれない。

年齢で変化する携帯電話・飲み代のウェイト

直近の2018年分につき、「昼食代」「携帯電話代」「飲み代」の比率を年齢階層別に並べたのが次のグラフ。

↑ サラリーマンのこづかいの使い道として欠かせないもの(年齢階層別、昼食代・携帯電話代・飲み代限定)(2018年)
↑ サラリーマンのこづかいの使い道として欠かせないもの(年齢階層別、昼食代・携帯電話代・飲み代限定)(2018年)

「昼食代」の高さは年齢階層で大きな変化は無し。40代がやや低めなのは、既婚者における持参弁当比率が高いのが一因と考えられる。

一方「携帯電話代」は50代がもっとも高い。携帯電話(特にスマートフォン)の利用実情を考えるに、むしろ逆に若年層ほど高い値が出るように思われるのだが、不思議な結果ではある。「飲み代」は大よそ年上となるに連れて上昇する傾向にある。年上ほど会社内での立場・役職も上がり、部下を連れて、あるいは接待として飲みに行く機会が増えるのも原因だろうか。

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※サラリーマンのお小遣い調査

直近年分となる2018年分は2018年4月12日から16日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2713人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料では多くを占める会社員は男性1252人・女性791人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が40.0対60.0、女性は59.9対40.1。今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけでは無いことに注意。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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