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うなぎはどこでよく買われているのか…うなぎの都道府県別購入傾向をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ うなぎのかば焼き。この時期の風物詩ではあるが。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・二人以上世帯において世帯主の年齢別では若年層ほどうなぎのかば焼きの購入額も購入頻度も低い(2017年)。

・総世帯において世帯単位でもっともうなぎのかば焼きの購入額が大きいのは京都府の3758円、次いで和歌山県の3735円、奈良県の3552円。

・各地域別の世帯全体のうなぎのかば焼きの購入額を試算すると、もっとも額が大きいのは東京都、次いで神奈川県、大阪府の順。

毎年土用の丑の日が近づくに連れ、巷にはうなぎ商品が満ちあふれ、同時にうなぎの絶滅危惧種問題と乱獲への懸念が叫ばれる。今回は総務省統計局の家計調査の公開値をもとに、うなぎがどの地域でよく買われているのか、その実情を確認する。

うなぎが夏の土用の丑の日によく食べられている理由、家計調査を基にした精査の結果として高齢者がよく食べている実情は、先行記事【うなぎは誰が買っているのか…うなぎの購入傾向をさぐる】で解説した通り。

↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(うなぎのかば焼き、年間、世帯主年齢階層別)(2017年)
↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(うなぎのかば焼き、年間、世帯主年齢階層別)(2017年)

次に示すのは同じ家計調査のデータを用い、総世帯(単身世帯と二人以上世帯を合わせた、全部の世帯)における、うなぎのかば焼きに対する年間支出金額を都道府県別に確認したもの。例えば北海道では1063円とあるので、2017年では北海道の全部の世帯を平均化すると、1世帯あたり年間1063円をうなぎのかば焼きに費やしたことになる。

↑ 総世帯における支出金額(うなぎのかば焼き、年間、都道府県別、円)(2017年)
↑ 総世帯における支出金額(うなぎのかば焼き、年間、都道府県別、円)(2017年)

全国平均では2208円。最低値は山口県の689円、次いで新潟県の763円。最高値は京都府の3758円、次いで和歌山県の3735円、奈良県の3552円、鹿児島県の3150円までが3000円超。高い値を計上した地域には鹿児島県のようにうなぎの産地として有名なところもあるが、静岡県が全国平均よりは高いものの2702円に留まっているなど、地域属性が強い影響を与えているのは限定的のようにも見える。ましてや都道府県別の世帯数を考えれば、各地の支出金額総額のランキングは別のようになるのは容易に想像できる。

そこでこの総世帯における世帯単位での平均値に、抽出数を調整した(今調査の回答実数では無く、直近の国勢調査の結果を基に実際の世帯数と同じような相対比率となるように調整(いわゆるウェイトバック)をした)世帯数を乗じ、都道府県別の概算的な支出額を算出。その算出で最大値を示した東京都の値を基準の1.000として、他の地域の相対値を求めた結果が次のグラフ。例えば北海道は0.111とあるので、北海道の世帯全体では、東京都の世帯全体の1割強ほどのうなぎのかば焼きが購入されている計算になる。

↑ 都道府県別支出金額概算値(うなぎのかば焼き、年間、最大額の東京都の値を1.000とした時の各地域の相対値)(2017年)
↑ 都道府県別支出金額概算値(うなぎのかば焼き、年間、最大額の東京都の値を1.000とした時の各地域の相対値)(2017年)

人口ボーナス的な影響が大きく出ており、トップの東京都は別にしても、神奈川県が0.444、大阪府が0.355と高い値を計上している。世帯単位では高額を示していた山口県も、県全体では0.011と東京都全体の1%強でしかない。鹿児島県は0.087と9%近い値。

ちなみに一都三県と呼ばれることが多い東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県の値を合算すると、全国すべての額の4割近く(38.6%)との結果となる。

無論今件はあくまでも支出金額であり、うなぎのかば焼きの重量や数、購入頻度を指し示すものでは無い(総世帯の品目ではこれらの値は調査されていない)。地域によってうなぎのかば焼きの相場は異なるので、額面がそのまま購入量を意味するものとは言い難い。また、家計調査ではうなぎのかば焼き以外に外食の項目があり、専門店などでうなぎのかば焼きを食べている場合は今件精査には該当していない。

とはいえ、うなぎのかば焼きを最終的に消費するのが一般世帯である以上、地域別の消費動向としては、今件結果は実情と大きな違いは無いものと見てよいだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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