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牛肉、豚肉、鶏肉…消費量の地域による違いを探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今ではあまり見かけなくなった、個人経営のお肉屋さん。地域で消費性向に違いは?

肉じゃがや中華まん、カレーに入れる肉の違いなど、地域による肉食に係わる食文化の違いに遭遇する機会は多い。その違いは地域ごとの消費量にも差異をもたらしているのだろうか。総務省統計局が定期的に調査を実施しその結果を報告している「家計調査」のデータを用い、日本の主要精肉「牛肉」「豚肉」「鶏肉」に関する消費動向に関し、分量(重量)の観点から確認を行う。

精査対象となるのは二人以上の世帯の消費量。単身世帯、あるいは総世帯の消費量はデータ化いないため、検証は不可能。直近の値は2013年分のため、それを取得していく。

まず大よその価格帯だが、東京都区部の値は次の通り。

↑ 東京都区部での主要肉価格(100グラムあたり/円、2013年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 東京都区部での主要肉価格(100グラムあたり/円、2013年、家計調査年報・家計支出編)

部位や市場、産地、販売地域などで変動はあるが、大よそ種類毎にこの程度の価格差が出ていると考えられる。やはり牛肉は高め。

続いて「牛肉」「豚肉」「鶏肉」それぞれの、年間購入(消費)量上位10位の都道府県庁所在地をグラフ化し、状況を確認する。世帯単位での年間消費量を示したもので、例えば牛肉消費量トップの京都市なら、2013年1年間で1世帯あたり平均11.7キロを消費したことになる。

↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間牛肉消費量トップ10(グラム、2013年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間牛肉消費量トップ10(グラム、2013年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間豚肉消費量トップ10(グラム、2013年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間豚肉消費量トップ10(グラム、2013年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間鶏肉消費量トップ10(グラム、2013年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間鶏肉消費量トップ10(グラム、2013年、家計調査年報・家計支出編)

個々の精肉の比較なら、「西日本は牛肉」「東日本は豚肉」「九州は鶏肉」との構図が見いだせる。また各グラフの横軸の区分を見れば分かるが、分量的には全般として「豚肉」>「鶏肉」>「牛肉」であることがわかる。重量当たりの単価は鶏肉が一番安いが、鶏肉の消費量が一番大きいわけでは無い。

もちろん「地域によっては豚肉以上に牛肉が(重量の観点で)食べられているところもあるかもしれない」との疑問はある。しかし今データの限りではそれは皆無だった。他方、「豚肉」と「鶏肉」のどちらが多く食べられているかについて、つまり主要精肉3種類のうち、「豚肉」ではなく「鶏肉」が分量面でもっとも多く食べられている地域はあるのか否かが気になる。

そこで実際に「豚肉」と「鶏肉」の購入消費量を比較し、「鶏肉が豚肉より多く食されている」(=主要3種精肉では量の上で鶏肉を一番多く食べている)地域を抽出し(該当する都道府県庁がある地域)、日本地図に反映させたのが次の図。

↑ 都道府県別・「豚肉」「鶏肉」の年間消費(購入)分量の高低(2013年)
↑ 都道府県別・「豚肉」「鶏肉」の年間消費(購入)分量の高低(2013年)

高知がやや飛び地の位置にあるが、大体九州中北部から中国西部に集中していることが分かる。この地域は唐揚げ文化が活性化しており、結果として消費分量が多いのも納得できる。また鶏肉が多く消費される理由としては、「昔から海外との交流がある(鶏肉を食す文化が浸透)」「水炊き、筑前煮などの食文化も広まっていた」などが要因とされている。

例えば「鶏肉」の最多消費量を誇る福岡市と東京都区部の消費量を比較したのが次のグラフ

↑ 主要三精肉年間消費量(グラム、2013年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 主要三精肉年間消費量(グラム、2013年、家計調査年報・家計支出編)

単純計算で福岡は東京の1.49倍。福岡の人がいかに鶏肉を愛しているかが、改めて理解できるというものだ。

■関連記事:

東西日本の「肉」の違いをまとめてみる

日本の牛豚鶏肉の消費傾向をグラフ化してみる(上:金額編)

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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