パンやめん類での中食や外食の増減状況をさぐる
・単身者は男女ともに外食でパンやめん類を主食として食べる機会が減少する傾向にある。
・中食は2013年度までは単身者に限れば、外食でパンやめん類を主食として食べる機会では増加の傾向があったが、2014年度以降は大よそ減少に転じている。
・2014年度以降多くの属性で外食や中食でパンやめん類を主食として食べる機会が減っているのは、消費税率の引き上げやスーパー・コンビニなどでの総菜の充実が影響しているものと考えられる。
食品の管理技術の進歩やスーパーやコンビニの取り扱い食品の充実で、中食や外食の機会は増えているとの指摘がある。主食のうちパンやめん類に関してその実情を、JC総研が2018年4月に発表した農畜産物の消費行動に関する調査(※)の結果報告書から確認する。
次に示すのはパン、めん類それぞれの主食としての、中食や外食での食数動向。時系列でデータを取得できる既婚女性・単身男性・単身女性に関してのものとなる(既婚男性のものは無い)。
既婚女性はともかく単身者は男女ともに外食(破線部分)が減少している傾向にあるのが分かる。一方中食(実線)は2013年度までは既婚女性こそあまり変化が無い、ゆるやかに減少の気配が見えるが、単身男性はパン・めんともに、単身女性もパンが明らかに機会を増やしていたのが確認できる。パンは具体的には食パン、菓子パン、サンドイッチ、ハンバーガーなどを指しており、惣菜パンの類を購入して自宅や職場で食する機会が増えていたようだ。独身諸氏にとって、スーパーやコンビニのパン類は強い味方となりつつあった。
ただし2014年度以降になると、中食・外食のパン類やめん類はその食数を減らしている。既婚女性の外食のパン類が、ここ1、2年で増加に転じたように見える程度。特に中食のパン類の減り方が顕著。原材料費の上昇に伴う各種パンなどの値上げで、購入性向が減少したことが示唆される結果となっている。また、ほぼ同じタイミングで拡充が進んでいるスーパー・コンビニなどでの総菜の影響も大きいだろう(総菜はおおむね主食として米を想定されている。実際、2014年度以降は自宅で炊飯をして米を主食に食べる機会は増加している)。
ここ数年の間に食生活は小さからぬ動き、具体的には中食の急速な浸透が生じている。今調査における直近数年の主食に関する動きを見るに、主食は自前で用意し、総菜を中食として選んで食卓で食べるというスタイルが浸透しつつあるのかもしれない。
■関連記事:
中食系食品などの購入動向推移をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))
※農畜産物の消費行動に関する調査
直近年度分は2017年12月15日から19日にかけて、全国の主婦・既婚男性・単身(独身)女性・単身(独身)男性に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2162人。男女比はほぼ1対1、年齢階層別構成比は20代以下174人・30代291人・40代359人・50代338人・60代409人・70代以上591人。調査実施機関はインテージ。過去の調査もほぼ同様の条件下で行われている。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。