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新社会人が思う「よい会社」の判断基準をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ にこやかに就業できるよい会社。新社会人の判断基準は。(写真:アフロ)

・新社会人がよい会社(職場)だと感じる条件のトップは「職場の人間関係がよい」。58.3%の人が同意(2018年)。

・次いで「福利厚生が充実している」「給与が高い」「残業前提の働き方で無い」。

・男女別では大よそ男性より女性の方が回答率は高く、女性の方が会社(職場)に求める要望が強いように見える。

毎日長時間にわたり給金をもらうために就業を行う場となる会社(職場)。新社会人は、自分の少なからぬ人生の部分をあずける場となる会社(職場)に対し、どのような希望を持っているのだろうか。ソニー生命保険が2018年4月に公開した、新社会人に対する意識調査結果「社会人1年目と2年目の意識調査2018」(※)から確認する。

次に示すのは調査対象母集団に対して「よい会社」と感じる条件を複数回答で尋ねた結果。上位陣のみをピックアップしている。無論業種をはじめとした就業環境、それぞれの度合い、回答者の認識によるところもあるが、あくまでも一般論、設問の文言からつかみ取れる認識における回答結果となる。

↑ よい会社(職場)だと感じるのはどのような会社(職場)か(2018年、複数回答、上位陣)
↑ よい会社(職場)だと感じるのはどのような会社(職場)か(2018年、複数回答、上位陣)

もっとも多くの人が「よい会社」だと認識する条件は「職場の人間関係がよい」。58.3%の人が同意を示している。少なからぬ人数の他人が同じ環境下で長い時間を過ごし、やり取りも行われる。そのような環境で、仲違いばかりだったり、いつもピリピリした雰囲気では、まさに針のむしろ状態で仕事をするようなもの。仕事の効率以前の問題で、健康にすら影響を与えうる。

続いて「福利厚生が充実している」で51.9%。「福利厚生」と一言で表現されているが、実際には多様なものが該当する。どれほどのものを望んでいるかは人それぞれだが、例えばドリンクの無料サービス、法定健康診断以外のさまざまな健康サポート、休憩所の設置、美味しい食事を安価で提供する社員食堂、充実した休暇制度、育児や介護支援などが挙げられる。会社側にはコストの上乗せとなるが、就業者には就業時間を過ごしやすくなる、健康の維持が容易となる、余計なストレスをためずに済むようになる、就業し続けることへの不安が減るなど、メリットは多い。そして就業者にとってのメリットは、まわりまわって会社側にもメリットとなる。ここまでが過半数。

続いて「給与が高い」で41.9%、「残業前提の働き方で無い」が36.5%、「能力を高める機会がある」で33.2%、「事業・経営が安定している」が32.8%。会社(職場)の財務的な問題を重要視している一方で、人材を使い捨てにしたいと考えていないならば当たり前の方針が大切だと思われているのも注目に値する。見方を変えれば、少なからぬ会社(職場)でこの基本的な要素が無い、欠けているとも考えられる。

これを男女別で見たのが次のグラフ。

↑ よい会社(職場)だと感じるのはどのような会社(職場)か(2018年、複数回答、上位陣)(男女別)
↑ よい会社(職場)だと感じるのはどのような会社(職場)か(2018年、複数回答、上位陣)(男女別)

多くの項目で女性の方が回答率は高い。今調査項目は複数回答であるから、女性の方が会社(職場)に求める要望は強いということになる。特に上位陣の「職場の人間関係がよい」「福利厚生が充実している」は男女差が大きく開いている。また「残業前提の働き方で無い」「通勤の便がよい」でも男女差が大きいことから、女性の新社会人は就業時において安寧な時間が過ごせること、就業とプライベートの仕切り分けを明確にしたいとの思惑が男性より強いようだ。

他方「事業・経営に将来性がある」は男性の方が高い値を示している。長きにわたり同一会社(職場)で就業し続けることを前提に考えているのかもしれない。それにしては「事業・経営が安定している」は女性の方が高いのだが。

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※社会人1年目と2年目の意識調査2018

2018年3月16日から3月23日にかけて、「今春就職する社会人1年生」「就職してから1年経過した社会人2年生」(いずれも20代)に対して携帯電話経由のインターネット調査形式で行われたもので、有効回答数はそれぞれ500人。男女比はそれぞれ1対1。調査協力会社はネットエイジア。過去の調査もほぼ同様の条件で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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