正規・非正規間の通勤の違いをさぐる
・通勤をする人の平均通勤行動時間は平日で男性1時間26分、女性1時間7分(2016年)。
・通勤時間は正規で男性1時間27分、女性で1時間16分だが、非正規ではそれぞれ1時間22分、1時間きっかりで正規よりも短い。
・男女とも正規より非正規の方が日曜に通勤をする人の割合は大きい。
仕事環境が自宅にある人は話が別だが、多くの就業者は自宅から職場まで通勤をしなければならない。正規(職員・従業員)と非正規(職員・従業員)の間における通勤の違いの実情を、総務省統計局の社会生活基本調査(※)の結果から確認する。
まず最初に示すのは、雇用されている人における通勤行動率と、通勤をした人の通勤時間。1日あたりの時間なので、往復の時間が計上されていることに注意。例えば平日の男性は1時間26分なので、平均的な片道の通勤時間は43分。
平日でも通勤行動者率が100%にならないのは、毎日出勤を必要としない就業者がいること、就業形態が特殊な人(平日(の特定曜日)が休み)がいること、たまたま調査日が休みだったことなどが挙げられる。逆に土曜や日曜でもそれなりに通勤をしている人がいるのは、その曜日が(・も)出勤の必要がある就業形態であったり、土曜や日曜のみの就業の場合があるため。また、残業のケースもあり得る。今調査の限りでは、雇用されている人の2割強は日曜でも出勤していることになる。
次に正規・非正規別の通勤時間の実情。非正規にはパート、アルバイト、契約社員、嘱託、労働者派遣事業所の派遣社員などが該当する。
男女とも正規の方が非正規より通勤時間が長い。これは非正規の中でもパートやアルバイトでよくあるパターンだが、自宅から距離的に離れていない、通勤時間が短い場所で働く傾向があるため。子供がいる主婦では特に、不測の事態が生じた際にすぐに自宅に戻れる・保育園などに駆け付けられる場所で働きたいと考え就業先を選ぶのは、理にかなった選択ではある。
続いて残業としての土日出勤の実情がかいま見られる、雇用形態別の通勤行動者率。
正規・非正規間では平日は正規、日曜は非正規の方が通勤をする人(≒就業する人)が多い。非正規の方が雇用形態の上で柔軟性が高いのも一因だが、日曜だからこそ就業が求められるような場では、非正規の方が職の枠が多いのも要因だろう。
土曜では4割前後、日曜でも正規は2割前後、非正規は2割強が通勤している計算になる。一部職種にあるように、水曜や木曜を定休日として土日も営業しているケースもあるが、それにしては少々多いような感も否めない。
なお今件は雇用されている人を対象としている。役員や自営業・自由業の人は対象外。役員は出勤を義務化されていない場合もあり、自営業・自由業は出勤の概念そのものが無い場合もある。しかしそれらの「(あまり)通勤しない・する必要が無い」人に関し、通勤の精査の際に含めるのは不毛に他ならない。ともあれ就業者全体としてでは無く、雇用されている人に限った全体像であることを改めて記しておく。
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※社会生活基本調査
5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。
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