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諸外国の国民が思う、相手の国の好き嫌いの実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 食べ物の好き嫌い同様に、国単位での国民間の好感・嫌悪感は存在する。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・2018年ではアメリカ合衆国は日本以外では英仏への値が高い。中韓へは4~5割台。

・タイは大よそどの国へも好感度が高いが、唯一対中国は5割程度。

・中国と韓国の間の国民レベルでの互いへの好感度は、この3年の間に大きく減っている。

国としての政策姿勢とは別に、国民レベルで他国に向けた好感、嫌悪感といった感情は確実に存在する。その実情を新聞通信調査会が2018年3月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査(2018年調査)」(※)の報告書の内容から探る。

次に示すのは調査対象国各国における、自国以外の国への好感度の指標。好感が持てる(強弱)、好感を持てない(強弱)、加えて実質的にもう一つの選択肢である無回答(あるいは分からない)も合わせ5択のうち、強弱を合わせた好感が持てる派の回答率を合計した値となっている。日本は調査実施国では無いので掲載されておらず、また各国において自国の部分は空欄となっている。

↑ 対象国に好感が持てる人の割合(2018年)
↑ 対象国に好感が持てる人の割合(2018年)

各国の市民感情としての他国への敬愛度、好感度が如実に現れているのが興味深い。アメリカ合衆国は日本以外では英仏への値が高く、タイは6割強と高め。中韓へは4割台から5割台に留まっている。イギリスやフランスも似たようなものだが、イギリスではアメリカ合衆国よりもフランスへの値が高めなこと、韓国への値が低いのが目に留まる。フランスでは対日、対英の値が特段高いが、一方で対米の値が低めで、対韓の方がむしろ高い値を示しているのが特徴的。なおイギリスの好感度の値が押しなべて低めとなっているのは、他の回答事例から察するに「無回答」の値がそれなりに高めとなった結果だと思われる。

タイは大よそどの国へも好感度が高いが、唯一対中国は5割程度。韓国では日本に対する値が一段と低いが、中国への値も低め。アメリカ合衆国への好感度が一番高く、イギリス・フランスへの値が競っている状態。

中国はといえば、英仏への好感度が一段と高く8割前後、次いで対タイ・対米が6割前後。そして日本へは一段と低く1/4程度でしか無い。これは諸国で一番低い値。

これらの値はあくまでも一般市民の思惑で、各国の政府や行政などの姿勢とは別物。とはいえ民主主義国家では多分に市民感情なるものが国策に影響を与えうることを考えると、無視できない結果には違いない。

なお2018年分の報告書では特記事項として、中韓関係の動向が取り上げられている。そこで過去の分も含め、両国の国民における互いへの好感度の推移を示したのが次のグラフ。

↑ 中韓の互いの国への好感度推移
↑ 中韓の互いの国への好感度推移

今調査項目は直近分も含め3年分しか回答値が無いが、その3年の間に中韓双方の好感度は大きく減少している。特に中国から韓国への好感度の減り方が急落している。各種外電から両国の関係が悪化している実情は推測できるが、それがそれぞれの国民一般にも浸透しているのが推し量れる結果ではある。

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※諸外国における対日メディア世論調査

直近年分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2017年12月から2018年1月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、イギリス・中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。対象年齢は中国以外は18歳以上、中国も同様だが70歳以上の回答者は1名のみのため属性別では除外されている。回収サンプル数は各国約1000件。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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