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6割強の人が「夫婦で名字が異なる場合、その子供にマイナスの影響がある」と思っている

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 夫婦が別の名字だった場合、子供に影響はあるのか否か。一般的な認識は。(写真:アフロ)

・本人が望めば婚姻後も婚姻前の名字を名乗り続けられるように法改正すべきであるとの考えを持つ人は42.5%。現行法を維持すべきとの意見29.3%を上回る。

・仮に婚姻前の名字を名乗り続けられるようになり、夫婦間の名字が異なる選択をした夫婦において子供がいる場合、その子供に悪影響が生じるだろうと考えている人は62.6%。

・夫婦間の名字が異なることによる子供への悪影響の懸念は、年齢階層別で大きな違いは無い。経年推移でも変化はほとんど無い。

日本の法律では婚姻状態にある夫婦は同じ名字(姓)を名乗らねばならない。仮に法改正によって夫婦で違う名字を名乗れるようになり、その適用をした場合、その夫婦の子供に何か影響が生じるか否かについて聞いたところ、「悪い影響がある」と考えている人は6割強いることが、内閣府が2018年2月に発表した「家族の法制に関する世論調査」(※)の結果から明らかになった。

今調査結果によると、夫婦は同じ名字を名乗らねばならない現行法体制に関し、現行法維持派は約3割、旧姓を選択可能にできるよう法律を変更するべきだとする派は4割強、同じ名字の使用は現行法通り・通称の利用は法的に認めるべきだとする人が2割強に達している。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2017年11~12月)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2017年11~12月)

仮に旧姓選択が可能となるように法律が変更された場合、多々生じるものと予想される、「名字が異なる夫婦の間にある子供」に、何か影響が生じ得るのか否かとの話が今回のメインテーマ。各回答者の予想によるものだが、全体では62.6%が好ましくない=悪い影響があり得ると答えている。それに対し影響は無いだろうとの意見は32.4%。

↑ 夫婦の名字が違う場合、夫婦の間の子供に何か影響が出てくると思うか(2017年11~12月)
↑ 夫婦の名字が違う場合、夫婦の間の子供に何か影響が出てくると思うか(2017年11~12月)

具体的な「好ましくない影響」について設問では設定されていないが、6割強の人は悪い影響があると考えている。男女別では女性、未既婚別では既婚の方が強い懸念を持っており、実態感がある。子供のいる・いないでは「いる」方が強い懸念を示しているのも納得がいく。

年齢階層別に見ると男女ともに大きな違いは無く、あえて言えば18~29歳ではやや悪い影響への懸念が少なめ。子供を持つ状態への実感が薄いのかもしれない。また70歳以上で悪影響の値が低いのは「分からない」に回答が分散してしまっているからだろう。

経年推移を見ても大きな動きは無く、悪影響が生じると考える人が多数を占めていることが確認できる。

↑ 夫婦の名字が違う場合、夫婦の間の子供に何か影響が出てくると思うか(全体、経年推移)
↑ 夫婦の名字が違う場合、夫婦の間の子供に何か影響が出てくると思うか(全体、経年推移)

子供の希望により夫婦が別姓化の選択を望む状況は考えにくい。夫婦側の希望で行われる場合がほとんどだろう。だが、夫婦の望みが子供にマイナスを与える可能性があるのなら…と、別姓を望む夫婦においては、子供を起因とする色々なジレンマを抱えているのかもしれない。

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※家族の法制に関する世論調査

日本全国の18歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段無作為抽出法によって選んだ5000人を対象に、2017年11月30日から12月17日にかけて、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は2952人。男女比は1396対1556、年齢階層比は18~29歳が253人、30代354人、40代525人、50代477人、60代566人、70歳以上777人。過去の調査も同様の様式だが、前回までは20歳以上を対象としている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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